日本で途上国に似た事件事故が増えた平成以降:緊縮財政で早死に

途上国化

途上国にありがちな事故や事件が、平成日本で急増した

「事故のニュース、途上国の話かと思ったら、日本だったでござる」。

「こんなお粗末な失敗が、我が国で起きてびっくり」。

確かな統計はありませんが、途上国の話だとてっきり思いきや「えっ、日本の話題かよ」と驚くことが目立ちませんか。たとえば食品のこれ。

・ 市販サンドイッチの具を切り口に集め、中は空っぽの見かけ倒し
・ 弁当箱の底を極端に高く作り、ごはんもおかずも不自然に少ない

ダマシ食品は以前は韓国ネタでしたが、今は日本の光景です。

1970年のオイルショックで広がった「上げ底商品」「消費者をだます減量」が、コロナやロシアウクライナの令和以前の平成に再来しました。昔を思い出す年輩も多いはず。

インチキ商品の横行はやっぱりあのせい?

政府が緊縮財政と消費税増税で故意にお金の総量を削減して、GDPもマネーストックも落ちデフレ不況になり、皆が所得減で物を買わない。

売れない企業たちはまず値下げし、なおも売れないと採算割れ回避で値上げします。

物を買えない日本国民

デイサービス利用者が、車いすの帰路でスズメバチに

デフレ日本の途上国化は、社会全体に広がっています。

デイサービスとは要介護の高齢者を1日や数日程度、預かる施設です。家族の手が回らない日にショートステイ利用します。皆さんの近所にも増えているはずです。

2017年10月に、デイサービス帰りの87歳女性が職員2名に車いすを押され帰宅中。空き家の軒に巣があるキイロスズメバチに襲撃され、150カ所刺され死亡しました。

報道では「巣の駆除にはお金がかかり、家主が払えないと放置され、今回のように他人の家だと県市町村が拒否すれば打つ手なし」。後進国らしい論理です。

新自由主義は、補助金の廃止が一丁目二番地だし

新自由主義は「全てを市場原理にまかせ弱肉強食の自己責任」が理念です。公共が安全へ出資するのを不正とみなし、「財力なき者は自業自得で滅ぶべし」がモットー。

実例は、消防車や救急車を有料会員制とし、未払い者を見捨てる方式です。「カネがないやつは焼け死ねばいいのさ」と。

公立病院と保健所を極端に減らしコロナ死者数トップの大阪も、この選民思想。「損害が出たなら空き家の所有者を裁判で訴えなさい」が、新自由主義の一丁目三番地です。

新自由主義は、市場と訴訟で社会を動かし、政府に財政出動させない思想信条
誰が何をすればハチの危険を防げた?

昭和のようにやればよかっただけ。県市町村がハチの巣を無料で駆除し補助金を出せば、そのコストは通貨発行でお金が増えて国民は富裕化、日本は経済成長します。

「巣が大きくなったが、お金がないから放置しよう」という迷惑もなくなります。

公金を出せば経済成長するだけの話

補助金カットを続けたから、ジャパン・アズ・ナンバーワンから転落したわけで。

でも国民の頭の中は財源論だから

「県市町村がお金を出せば、一万円札が底をついて破綻する」という思想信条です。

節約することで、経済縮小と住民死滅が同時並行で進み、急速に途上国化しました。

記事→ 財源論とは

高齢者の死亡というのがあれだ

介護職員が女性を助けず退散したのを「しかたがない」とみる根底は年齢差別です。

女性をひきずって逃げれば?の声は少なかったし

「税金を無駄に食いつぶすお荷物世代は消えて欲しい」と、多くの心に「結果オーライ」の心理があるからです。「働かない者が減ってくれて、お後がよろしいようで」と。

皆は「命は尊い」と言わなくなり、「お金を守り抜こう」へと民意が移行していますね。誤った貨幣観である財源論で人命軽視が突出し、福祉が嫌悪された一例です。

北海道の知床で、遊覧船がレジャー乗客もろとも沈没

若い人も同じように早死にさせられます。

2022年4月に知床岬コースを行く遊覧船が沈み、乗客乗員26名も沈んだ事故。

多くの人々の想像どおり、船の整備不良でした。高波を防ぐハッチの締まりが悪いなど、何カ所も不具合があるまま決行した結果です。

身を斬る冷たい海水が流れ込む遊覧船の中で、乗客たちは航海を後悔したでしょう。

何を後悔したのか?

国が「安かろう悪かろう」へ突き進む時代は、娯楽レジャーでも簡単に命を落とす法則に気づいたのです。自分の時代は命が軽い時代だと理解した、数分後に天国へ。

エンタメ系のジェットコースターやバンジージャンプや、長距離バス旅行やカーレースや川下りでも、お粗末でむごい死亡事故が繰り返されています。

背景は緊縮財政と消費税増税です。

お金をかければ解決するのに、通貨削減しているから、日本全国が地雷だらけ。

客数減、売上減、整備点検を省略、マニュアルが不備、能力主義で技能伝承なし、非正規雇用やアルバイトの素人、低賃金、長時間労働、ブラックで定着しない

一に節約、二に節約、三は経費削減、四五も節約。六七八はコストカット。

格差拡大と貧困化を進める国策で、安全という概念そのものが消滅していきます。

福島原発の爆発と同じ理屈じゃん

報道は「遊覧船会社は極悪だし、関係省庁もずさん」ですが、要は途上国化です。

1973年以降は起きるわけのない「自国通貨が足りない」現象を、お芝居ででっちあげてのデフレ不況です。売れ行きが落ちた企業たちが、安全対策費を減らした簡単な話。

・ 停止中の機械を他の社員が動かし、中で点検中の作業員が死亡 ← 節約の果て
・ ダムの底を点検するダイバーが潜水中に、穴に吸い込まれ死亡 ← 節約の果て
・ 幼稚園の送迎バスに園児が取り残され、炎天下に脱水症で死亡 ← 節約の果て
・ 交通事故を起こした車や自転車が、すかさず逃走する ← 保険に入る金を節約
・ 逃げた犯人を警察は追いかけられず、事件は迷宮入り ← 捜査の予算金を節約

「毎日やる点検を、その日は省いた」「係員は2人のはずが、その日は1人だった」。

「安全装置は未整備」「安全装置がじゃまで普段は切っていた」「改善するお金がない」「経費削減しろと上司がうるさい」「こんな時代に安全でメシが食えるか」。

40人も亡くなったビル火災でも、安全に力を入れたら不況の中で店は倒産します。店は自己責任で自助したわけ。「事が起きてから考えよう」「いざとなれば夜逃げしよう」「UAEのドバイへ行けば逃げきれる」と。

日本が荒れてる原因すら知らない人だらけ

「原因は、不注意が増え、無能が増え、ドケチが増えたからだ」と。

待て待て、それは原因ではなく結果の方です。結果を叩いてもだめ。

原因は緊縮財政です。通貨削減すれば、皆が金欠でピーピーだから。

平成以降に出てきた悪い現象は、通貨を故意に減らす緊縮財政で新しく生まれた
もう政治を変えないとだめだ

2023年4月の統一地方選挙では、「緊縮財政、増税、弱肉強食、優生思想、自己責任、身を斬る」の政党ほど、議席を伸ばしました。国民は逆走の続行を選びました。

逆走って何?

今後さらに悪くなるわけ?

国民は政治を変えずに、日本を変えたがっています。昭和から変えたせいで経済が落ちた平成の流れを知らない若い世代は、「変えよう」「前進しよう」にだまされます。

変化と前進の中味が、格差拡大と平均賃金低下だと知らない世代がいつしか多数派で。

荒れて攻撃的な社会を、イノベーションが起きる「活力」だと人々は思い込んでいて。

なぜ民意は逆走をやめない?

税金は財源ではないのに財源だと思っているから、何から何まで逆さまにひっくり返った思考なのです。

日本国民は、国費は国民が払うのだと、完全に勘違いしています。だったら、全員が死滅するまで増税が続くに決まっているではありませんか。

皮肉なことに、日本を買い叩く海外資本は、外国政府が刷ってばらまいたお金です。

記事→ 途上国化させる改革の典型がインバウンドとカジノのIR

緊縮財政と消費税増税で通貨削減した日本で、あらゆる分野での途上国化が起きています。若い世代は先進国だった過去を知らず、あきらめるだけ。
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