ベーシックインカム論争は、財源論をこじらせまくり
ベーシックインカムへの誤解もまた、日本ですさまじいものでした。誤解していない人が見当たらない状態でした。誤解、曲解、勘違い、邪推。
全員で嘘を吠えまくった、フェイク情報の大合唱でした。
皆さんは大丈夫ですか。
どこをどう誤解?
財源論という勘違いです。
国内のどこかに国庫というコンクリートかデジタルの金庫があって、そこに国民が納めた税金と海外から得たお金をためて、国の予算とする間違った思い込みです。
最初のベーシックインカム考案者は、財源論が主義でした。実物貨幣が惰性した時代錯誤でした。20世紀以降の設計なら当然、信用貨幣の管理通貨制度で考えます。
20世紀のある時点から、独立国には原理的に財源という概念が存在しません。
税金は財源ではないのです。
それを知らない人は、アナクロな財源論で考えてしまいます。
財源論の説明をもう一回
税金を集めて財源とする思想が財源論です。
国が国民の資産を没収し財源とする、領地から米を集めた時代のやり方です。
財源論では、動物のオリのエサのように総量一定のお金を皆で分けます。
ゴリラのハナコに与えるバナナを増やす時に、ピーコのバナナを減らすのが財源論です。エサを新たに供給せず、すでにあるエサを移動して都合します。
ピーコが死ねば、ハナコのバナナが増える思考です。奪い合いと共食いです。
相模原の19人刺殺の動機がこれです。弱者がお荷物で、強者も共倒れになるから、正義の鉄ついをくだした事件でした。
弱者を間引き、強者が通る道をあけさせた。財源論から導かれた選民思想です。
財源論の思想は「赤子間引き」や「うばすて山」へ向かいます。
ベーシックインカムでも同じ勘違い?
よくある疑問が、次の二つです。
「国民にお金を配る、その財源はどこ?」。
「金持ちの金を、勝手に貧乏人に配るな」。
もろ財源論で、オリの中にあるバナナの奪い合いの思考ですね。
外部→ この立派な弁護士サイトも、一番最後はバナナの奪い合いのまんま
だったら配るお金は誰が出すの?
せーのっ。
「打ち出の小づち。貨幣プリンター。通貨発行権です」。
・ 発行量が少ないと貧困化が起き、多いと富裕化が起きる
・ 物理的に無限に発行でき、運用上はインフレ率2パー以上8パー以下が良好
・ 理論的に、デフレ不況は経済思想の間違いで生じる
ベーシックインカムは、国の通貨発行権で、新たに発行するデジタル通貨です。
誰かのお金を借りたり、奪って転用する使い回しではありません。
お金持ちの資産を当てにしたり、支える奴隷を雇い入れません。
誰のお金も使わずに?
お金を新たに発行します。
貨幣を新規につくり出します。
新しい貨幣です。
誰の負担もなしに?
そう。
新発行。わかりますか、この意味。
しんはっこう。
かき集めずに?
新しく出すの。
政府がお金を新発行して、それを政府が使うのです。
原資や貸担保なしで。
返さなくていい?
借りたお金でないから、返すわけがありません。
返す相手がいないのだし。
現に、自国通貨を自国に返した国はありません。
・ 原理的に大口納税者は、一人もいなくてよい
・ 現状に、ベーシックインカムを付け足すだけでよい
・ 自国通貨を発行して、全員に8万円などを給付するだけ
お金はいくらでもわいて出るのが、独立した先進国
政府には、お金を発行する義務があるんですよ。権利以前に義務なのです。
「どこからお金を持ってくるのか」。
「お金が底をついたらおしまいだ」。
こんな勘違いで空回りです。「僕らが納めた貴重な税金なのに」は、無意味な怒りです。
配っていないから。
なら納めた税金はどこへ行った?
捨てたに決まっています。
国税の目的の筆頭は、余剰貨幣の間引きです。
国税をとった時点でインフレ率の調整は終わり、自動的に廃棄されます。
もっと簡単な話にできるか
家庭になぞらえると、水道の蛇口が通貨発行権に似ています。キッチンとバスとトイレで水を取り合いしませんよね。
トイレの便器や、金魚ばちの水を差し出させて、ご飯を炊きませんよね。
ある時、風呂を2回わかしたせいで、ナベに入れる水が不足して、そうめんをゆでることができなくなって、パンを買いに走った悲しい経験は、ありましたか。
あったような、なかったような
家事の水は総量が固定せず、使う時に増やせます。底をつかず、枯れない前提です。
お客さんを4人招いた日に、トイレへ行く回数制限をかけたりしませんよね。しょんべんしたくてもがまんするよう、呼びかけませんよね。
ベーシックインカムを、コストカットで設計する間違い
嘘っぱちの話は、ブログやユーチューブでもまき散らされています。
「国民に配るお金は、国民から集める」。
「国民に毎年152兆円配るなら、税金を毎年152兆円とる計算だ」。
2019年でも国民に90兆円配り、税金を60兆円とっていますよね。出す分と戻る分は、同額ではありません。
それどころか今は配る90兆円が少なすぎて、とる60兆円が多すぎるから、貧困化して詐欺や売春や無差別テロが横行しているのに。
決定的な知識は何?
国の政府は、お金を必要なだけ発行できます。いくら巨額でも。
・ 他国に侵略されない限り
・ 商品が枯渇しない限り (←通貨価値を落とさずに発行できる上限が決まる)
行政コスト削減が目的なのはどう?
ベーシックインカムのメリットでよく言われるのが、行政のコストカットです。いわゆる行政のスリム化。公務員を減らせる期待です。これも財源論の壮大な勘違いです。
年金制度を廃止して、ベーシックインカムのお金を確保するとか、悪い冗談です。年金にさらに上乗せするだけの話です。
年金を削らない?
年金が22万円だった高齢者は、ベーシックインカムの8万円ももらえて、30万円などに増えるだけ。増えたお金で、天体望遠鏡や高級自転車や、大塚家具や現代アート絵画でも買えって話。音楽イベントへ足を運べって話。
中国人やアメリカ人が、今やっているように。
日本以外の先進国が、普通にやってきたように。
まずは風呂へ入る回数を増やして、服もよく洗濯しなさいって。不潔な節約をやめて。
国民健康保険は廃止になると聞くが?
経費削減は、もろ財源論の勘違いです。「あとは自分のお金で、難病を直したいなら高い保険会社に入れ」は、通貨発行権がない前提の弱者淘汰です。
そもそも国保は税金に相当するから、景気の調整用に今のまま続けます。
公務の経費節減は目的じゃない?
21世紀のベーシックインカムのひとつの目的は、人工知能AIがまねく知的労働の大失業に向けた最低限の衣食住補助です。国が『北斗の拳』になる崩壊を防ぐため。
餓死して遺体で発見される人や、信用金庫に押し入って、わざとつかまって刑務所で飯にありつく、ひどい追い込まれ方の人権侵害をなくす福祉です。
正しく運営すれば、全員のバナナが増えるわけか
それを日本語で経済成長と呼びます。
日本も含む文明国には、お金を自由に出す通貨発行権があります。だから足りないお金を市中からかき集めるなんて、お笑いコントです。足りるまで発行するだけ。
国内の足りないお金は、いくら巨額でも発行する方式に、世界がなっています。
日本以外の世界では、江戸時代は終わっていました。
国民が理解することも大事か
相模原19と同じ思想のままベーシックインカムへ進むと、高齢者に白い眼を向けたり、障がい者に危害を加える風潮が強まるでしょう。
交通事故の後遺症で働けなくなった人を、国民が袋叩きにする根拠が財源論です。
「おまえが働けなくなると、おれの税金が上がる」。
これ真っ赤な嘘で、世界は通貨を発行してお金の量を増やして、福祉に使うだけ。
みんなの想像と違いすぎる
少し前は、果たしてできるかと、入と出を計算する者が続々と現れて。何円配るために、何円税金を集めるかと。
増えて喜ぶハナコと、減って悲しむピーコとの、不公平や損得の不満ばかり。
管理通貨制度を理解した経済学者はいても、テレビに出してもらえない状態でした。