日本財政破綻論とは何:ノストラダムスの大予言並みのブーム

日本財政破綻論

日本が財政破綻すれば、国は破滅し崩壊して民族自決か

平成時代に流行した言葉のひとつが「破綻する」でした。はたん。

言いやすくて、かっこよくて、しゃれた響きに感じられますが、誤読も多かったのです。ロックするカギ「錠前」の「錠」と似ているから、「はじょうする」と読んでしまう人がそれなりにいました。

「日本はいつか破綻します」と言えば、重大発言したみたいで、ゾクゾクするぜー。

破綻て、どういう意味?

破綻の意味は、立ちいかなくなる行き詰まりです。将棋でいえば、詰んで負けが決まった状態も破綻でしょう。

財政破綻は、外貨借金の返済不能の意味で使われます。

たとえばギリシャの破綻です。ギリシャはIMF、ECB、ドイツなどからユーロを借りました。しかし約束の日に返済できず、経済用語でデフォルトと呼ぶ、これが破綻です。

財政破綻した国は消えるの?

国はあり続け、国民も住み続けます。

そして、返済できなかったお金を何かで弁済します。

延滞金として利子を上乗せしてこれから返すとか、別の国から借りて回すとか。協議することになります。物納として、領土を占領されるなどもあるでしょう。

ということは、外貨を借りることは危険があるのです。

日本は多額のお金を借りているが?

違います。人から借りたのではなく、帳簿上の負債計上なのです。

だから日本はギリシャと異なり、負債を返済しないのです。

ギリシャの負債は統一通貨ユーロだから、本物の借金です。日本の負債は日本円だから、借金と見立てても日本政府が日本政府に返すなんちゃってギャグです。

日本が日本にお金を返すの?

馬鹿馬鹿しくて、当然返しません。返済を永久に省きます。

つまり「日本の借金」というフレーズはフェイクで、返す借金など実はないのです。

日本が財政破綻すると思う人は、必ずどこかを勘違いして、事実誤認しています。どこで勘違いしているかをチェックしてみましょう。

日本の財政宗教は三大宗派があり、複雑にこじれている

日本で財政破綻論が大衆レベルでもブームになっています。外国にはブームはないから、一応ガラパゴス現象の一種でしょう。コップの中の嵐とも言いますね。

財政破綻予告の種類を確認したい

経済宗教は「財源論」「日本財政破綻論」「ハイパーインフレ厨」に大別できます。

これら三大宗派の違いは、大ざっぱにこういう感じです。

実際の原理 財源論 日本財政破綻論 ハイパーインフレ厨
お金の誕生 誰かが借金 国民の労働 企業の活動 経済活動全般
お金の意味 借用証書 財宝 資産 自由行使権
コロナ給付 国債発行 税金から捻出 国債発行 まちまち
国債の役目 通貨の発行 認識なし 税金を補う補助 税金を補う補助
税金の役目 余剰通貨回収 国の財源 国の財源 国の財源
財政規律は インフレ率 お金の量 政府負債対GDP お金の量
何が悪か デフレは悪 政府支出は悪 国債発行は悪 インフレは悪
貧困はなぜ
起きたか
貨幣の削減
無駄の削減
労働の非効率
無駄づかい
労働者のさぼり
無駄づかい
労働者が馬鹿
無駄づかい
貧困対策は 造幣と減税 個人の努力 企業の努力 自己責任
日本の破綻
は何を指す
生産力の衰退 税不足で破産 借金が返済不能 物価が130倍
インフレ率
過度の要因
生産力低下 国の無茶 お金の発行 お金の発行
今から何を
すべきか
デフレ脱却 無駄の削減 財政再建 日本から脱出
1100兆円
の負債は
通貨発行残高
負債を増やせ
子孫へのツケ
負債を減らせ
政府の赤字
負債を減らせ
国の借金
負債を減らせ
高齢者や
障がい者は
GDP成長の
一因となる
財源の無駄で
国のお荷物
財源の無駄で
国のお荷物
財源の無駄で
国のお荷物
目指す国は 災害に強い国 中世国家 北欧国 欧州国
主な信者 まちまち 国民の95%
議員の85%
大物経営者
財界人
カリスマ金融マン
政府諮問委員
経済評論家
カリスマ金融マン
グローバリスト

個々人に当てはらまなかったり、ばらつきは当然あり、内部矛盾も起きます。

たとえば財源論貨幣発行がない前提です。一方、ハイパーインフレは貨幣発行オーバーだから、両方とも信じると矛盾してロジックが破綻します。

日本が財政破綻しないのは、変動為替の自国通貨だから

日本で発行した国債の合計が多すぎて、いつか財政破綻する確率はゼロです。

日本の国債は円建ての証券です。たとえばドイツ政府が1兆円の日本国債を買う時、為替作業込みの円で日本側へ支払います。

だから10年後の償還日に、日本政府はドイツ政府にユーロでなく円で返します。

その円を日本側はどうやって用意する?

円は日本の自国通貨なので、日本政府は1兆円を新たに発行して、ドイツ政府へ元金の払い戻しを行うだけです。それも一万円札や通帳ではなく、次の10年の国債で。

それを長年かけて1000回やって、合計残高が1000兆円になっても、政府は1000兆円の令和小判でも発行して、日銀へ譲渡すれば完済です。今ならデジタルでしょう。

小判での返済は本当にやってる?

政府と日銀は身内だから破綻したくてもできず、その儀式も不要です。間違った財源論に従えば、これで完済するという理屈だけです。

政府負債を今後、1500兆、2000兆と上げれば正常化するだけの話です。数字が国の経済規模に相関します。人間一人にたとえれば、長生きするほど食べたご飯粒の個数や、飲んだ水のリットル数が多いようなものです。大柄な人はより多くなります。

しかも日本は災害が多いので、他国より余計に国債発行が増えます。プロレスやサッカー選手が多めに食べるように、特別な運動量は地震や台風や火山噴火への備えです。

当然、後でご飯粒や水を体内から出して返却する発想を、やらないものなのです。

ドイツ政府は日本政府を疑わないの?

ドイツ政府が日本国債を買うのは、信用しているからです。元金の1兆円と利子を毎度受け取れた実績で、得する未来を信じてまた買う気になるわけです。

日本政府が発行する円は、日本が戦争をやらない限り安定しているからです。他国の貨幣のように価値が急落せず、手堅い財テクです。

日本政府を信用する背後に何がある?

日本の生産力です。円が多く発行されても、使い道があるから紙くずになりません。

タコ焼きからグランドピアノや水素車まで、新幹線も小惑星探査機も素粒子加速装置も、何でもヒョイヒョイ作れて増産も高速です。だから国内にお金をやたら多く増やしても、だぶついて値打ちが下がる超インフレが非常に起きにくいのです。

借金が返せずデフォルトした例です。

どの国? いつ? 何が起きたの? 敗因を教えてー
ロシア 1998年 ドル借金を返済不能 自国ルーブルが固定相場制だから
ギリシャ 2011年 ユーロ借金を返済不能 外貨相当のユーロを借りたから
アルゼンチン 2014年 ドル借金を返済不能 途上国病で、外貨を得る産業不足
レバノン 2020年 ドル借金を返済不能 内外戦争で、産業不足で通貨不足

超インフレでお金が暴落した例です。

どの国? いつ? 何が起きたの? 敗因を教えてー
ドイツ 1920年 年平均物価が2千億倍 敗戦で都市と生産設備はガレキに
日本 1946年 年に物価が4倍 全国の空襲と原爆で生産設備は灰
ジンバブエ 2008年 年に物価がほぼ無限倍 事前に白人排除で生産力を喪失済み
ベネズエラ 2019年 年に物価が2万6千倍 石油輸出依存で国内産業育成に失敗

日本財政破綻論のフェイクは、円の国債とドル借金を同一視した妄想です。変動為替相場制の自国オリジナル通貨だと、破綻する可能性は完全にゼロです。

一方、ハイパーインフレ厨のフェイクは、工場と従業員がない国で起きる超インフレを、貨幣の発行で起きると偽った引っかけです。素人をだます常道です。

国力は所持金ではなく、生産設備と作業者の充実、そして人口だったのです。

日本の誰が経済大国に貢献しているのか?

製造業と販売業の多さが基盤、その基盤を消費者の多さが育てるメカニズムです。政府が貨幣を大量に出すには、買える物とサービスが大量に必要です。

お金の規模に、商品の規模が釣り合えば、お金の価値がぐらつきにくい道理です。

手が器用な日本人に、それができたわけです。しかも一朝一夕のニワカ製造業ではなく、レナウンのように明治時代からあって、その前身が江戸時代からあったのです。

ならなぜ財政破綻説が流行する?

日本人は「貨幣とは何か」を間違い、財宝だと思い込んでいるからです。その勘違いが、バブル後の所得減でパニクって噴出しました。

財宝となれば有限の資源だから、無から有が生まれる発想が起きないのです。国家が使う公金は誰かから借りたか奪ったか、場所を移して持って来たと発想するわけです。

持って来た以上は、元の持ち主におわびして、弁済が必要だとする勘違いです。

10万円の罪もネットに噴出していて

日本人は一人10万円、全員で13兆円を手にすると、13兆円を貸してくれたミスターXに後で全額そろえて返さないと、殴られシバかれると恐れています。

「13兆円を発行した」という日本語の意味を、日本人は飲み込めずにいます。

お金を大事にしすぎた?

財宝とまでは思わない人でさえ、お金は味噌やしょうゆと同じで、使えば減ってなくなるから、使わない心がけが肝要だと思い込んでいます。

それで政府が水害をなくそうと河川の工事を行うと、お金の無駄だと国民が怒り出すわけです。国庫のお金が減るよりは、洪水でおぼれて死ぬ方がましだという民意です。

お金のパイの大きさが固定のつもりだから、他人がゲットすると喪失感で腹が立ちます。コロナ給付金でも他人を排除しようと、階層差別や職業差別が噴出しました。

「お金に困っている人だけ選んで給付するアイデア」に向かう以前に、「出費削減で財源を浮かせよう」式の、勘違いのアイデアだらけでした。

温和な日本人が公金の話で変調をきたすのは、財源論のせいです。

マスコミも財源論で論じるし

「コロナ給付金の財源が心配です」とニュースキャスターが言うたびに、働けない者への差別感情が高まり、国民を分断しています。

本当は、給付額が多いほど貧困化が是正されます。なのに話をひっくり返して、みんなが貧しくなるよう国に要望している国民です。

みんなが貧しくなるって、もしかしてこれのこと?

本当は、貨幣発行に犠牲はありません。いやあるぞと、心に物語をつくっているだけ。

それを日本語で妄想って言うんです。

日本の破綻を唱えて誰が得するの?

1973年から26年も売れ続けた『ノストラダムスの大予言』の経済版です。ネタばれした2000年に売れなくなりました。あの騒ぎは日本だけでしたよね。

「貧乏人に配る金は、君が働いて納めた税金だぞ、怒れ怒れ」と嘘をついて、うぶな大衆同士を対立させるのです。日本を壊す意図ではなく、本を売るドル箱ビジネスです。

「地震で街にトラが逃げた」と似て、危機を叫ぶとめっちゃ儲かるのです。

「トラの嘘にだまされるな」と叫ぶ者は、売れないし人気も出ませんからね。

税金は財源でなく、日本国債はデフォルトせず、ハイパーインフレの確率は世界一極小。財政破綻論は大衆の無知を利用し、恐怖で調教する商戦です。
Photo: Gerd AltmannによるPixabayからの画像