デフレ不況の貧困化が原因で、少子化が急進した順序
少子化は、子どもが最多になった戦後ベビーブーム以降続いています。
ベビーブームとは?
1945年に太平洋戦争(大東亜戦争)が終わり、空襲で亡くなった人も多く、戦地の男性は戻らなかったり、シベリア抑留とか。日本の人口は戦争で減りました。
しかし翌年から国民は前を向いたのです。1947年と48年に子どもが多く生まれました。後に堺屋太一さんが「団塊の世代」と名づけた、人口が特別多い年代です。
ビートたけしさんもその世代ですね。小中学校の教室を急ピッチで増築しました。
それから子どもは減った?
その後ゆっくり出生数(しゅっしょうすう)が減りました。一般に、文明の進歩で子どもが減る関係です。途上国の出生数は多く、先進国は少ないのは、人類の法則です。
だから、少子化の犯人は簡単ではない。先進国では子どもの死亡率が低いし長寿なので、少なく産む説もあるし。お金がかかるから、少数精鋭化も指摘されます。
今の少子化もその続き?
ところが昭和が終わった平成以降、日本で特別な現象が起きました。
既婚男女には子どもが2人以上いて、でも結婚しない男女に子どもはゼロ同然です。未婚の男女の激増が、日本の少子化問題の核心です。
妻や夫と呼ばれる人が、人数も割合も減りました。
ということは、子育て支援金や出産への報奨金では解決しません。「出産3人目からお金あげます」では、2人産めた富裕層への優待プレゼントでしかないから。
問題は、出産以前に男女がいっしょになれない貧困化です。
貧困が全ての発端だった?
一方、結婚できた人は従来より子どもが少し多めです。
平均して子どもの激減になる計算です。これが日本型の少子化です。
男性が非正規のワーキングプアだと、女性は結婚相手に選びませんよね。お金で苦労する人生はご免だし。子どもが万引きしたり、夫が信用金庫に押し入ったりしそうで不安。
デートするカネが不足。ランチもケチり、暗い交際に幻滅し、序盤に別れる。それが予想できる頭脳明晰な男性は、サイフがしぼめば奥手なタイプへと変化します。
カリスマ論者たちの、低収入な男性を軽蔑する表現も、とてもむごいものです。富裕者は勝ち誇って男を上げようとし、庶民の貧困化に賛成してくるのです。
「結婚したい相手が見つからなかった」と、独身で過ごす女性が増えがち。彼女はたぶん子孫なしで、身寄りがないまま介護を受け、老いて墓に入るでしょう。
少子化問題のこじれは、因果関係が逆さまの解釈
少子化問題はフェイク報道の山です。次の言い方を聞きますね。
「少子化だから、その分だけ物が売れなくて当然だ」。
「人口が減っていく以上は、経済も縮小して当然だ」。
これらは因果関係が逆です。
先に起きたのは、物が売れず、経済成長せず、男女全員の所得が減ったこと。
低所得すぎて結婚したくてもできず、子どもどころでなく。一人でも食べていけない危機です。独身のまま歳をとるハメになった、が正しい順序です。
現に「独身貴族」は死語も同然です。
みんな順序を反対に考えてる!
「少子化を解決して景気を上げよう」。
これって、結果を変更して原因をなくす無茶ですね。「病気を治せば、生活習慣も直る」とか「手足のかゆみを止めれば、蚊はいなくなる」みたいな。
所得減はなぜ起きたの?
国策でバブルを墜落させ通貨削減したので、商品が売れなくなり、企業で働く若い男女は毎年の賃下げにあいました。「高度衰退」。
それへの反論はこれでドヤ
よくある反論は「貧しい途上国は、女性1人に子どもが10人もいる。日本も貧しくなれば10人子どもを産むはずだ。逆に減るなら、貧困は少子化の原因でない」。
この「貧乏子だくさん説」は統計を無視しています。貧しい途上国と、貧しい先進国は結果が違う「現実」があります。前者は多子、後者は少子になることが数字に出ます。
数字に出た現実を払いのけて「僕の理論が正しい」と。
机上の空論てやつ?
先進国では野原のバラック住宅も、建築基準法違反で摘発されます。先進国では、子どもが入る家も用意できませんね。
先進国では、子どもの人身売買は違法だし。子に盗みや売春もやらせにくい。
先進国はガチガチの縛りで、生きる道は封じられます。地面に立つだけで地代が必要。
先進国ではお金がないと生きられず、日本は助け合い社会も崩壊済みです。
少子化問題が収束せず、議論が荒れるのはなぜ
少子化の分析や説明は、利害で荒れます。
デフレ不況で少子化になった説を言うと、お上への当てつけになります。
口に気をつけるわけか?
少子化が激しい理由と、正直に言えない理由は、同一の理由です。それが貧困化。
忖度(そんたく)の語が流行りましたね。相手を気づかう気持ちです。お上を気づかい、盾突かない人が激増したのは、ひとつは貧困化によるメンタル萎縮です。
もうひとつは、共食いに勝つために、権力に身を寄せる霊長類の本能です。
日本の少子化は権力者が起こした人災なので、お上を批判すると報復され、仕事を干されたりします。それが怖くて、テレビ新聞で的を射る発言ができない。
だから少子化を若者のせいにするわけ?
たとえば、若い男性の草食動物化です。
優しく消極的で行動力のない若者像です。意欲がないから女性にアタックしない。軟弱で押しの弱い男性たちが、少子化の原因だという話が世に出回りました。
「婦女暴行するほどの勢いを持て」と失言した議員だかが、辞任しませんでしたか。
経済の失策で少子化が急進した核心に触れずに、発言力のない若者に責任を着せたわけ。典型的な「利害配慮型フェイクニュース」です。
「若者が搾取されてビンボーで、結婚できずに子どもがいないんだろ?」の一言は禁句というさびしい日本の報道です。テレビでしゃべると浮いて排除になる。
ホント、皆が口をそろえて同じことを言う
「結婚せずに一人で生きる若者たちは、新しい哲学を持ち、昔と時代は変わりましたね」などとテレビ評論家も詭弁に努めてきました。
要するに御用学者となって、自分の食いぶちを死守したい。テレビに出られなくなるか、それとも大きい仕事をもらえるかの分岐点で、大勢が後者に飛びつくのです。
メカニズムを正直に説明して、多子化へ改善させる者が現れません。
インフレ好況と違いデフレ不況は、汚れた人生への転身を増やす効果がわかりますよね。「貧すれば鈍する」だらけです。
貧したのはいつ?
平成9年4月1日です。緊縮財政と消費税増税です
故意に不況に変えて、少子化や人口減を進めました。偶発ではなく、わざと。
あのリストラ元年ね?
実体経済を観察すればわかります。ゴルフ用品やアルトサックスや高級オーディオや高級ウィスキーがパタッと売れなくなった理由に、子どもは関係ないから。
商品が売れない理由はバブル後の給与カットです。銀行が資金回収しようと融資を止め、貸しはがしした結果の各企業の賃下げが、少子化の原因です。
・ 少子化のせいで、貧困に転じたのではなく
あの時、市中のお金を300兆円減らしました。当初は政府が通貨を正しく補い、途中から逆走的に通貨削減に切り替え、デフレスパイラルに持ち込んだわけです。
その1990年代後半は人口がまだ増えていて、フェイク俗説は現実と合わないでしょ。