超高額2億円の治療薬に、新たに保険が適用される
2020年2月26日のニュースは、高額な治療薬の話題でした。
1回で2億円以上の、鳴り物入りの薬です。「ゾルゲンスマ」という注射液で、日本でも生産して健康保険が使える明るい話題でした。
明るいけれど、びっくりですね。
どんな症状?
9カ月前の2019年5月に、こんな国際ニュースがありました。
「人工呼吸器がないと、2歳まで生きられない筋萎縮症がある。その治療薬を、スイスの製薬会社が開発した」。
抗生物質ではなく、遺伝子治療薬です。これさえあれば1回で直るという。そして、1回212万5千ドルという高額なので、2月27日のレートで2億4370万円です。
個人では払えない金額!
それが日本で保険適用になった朗報です。
3割の7311万円を患者側が払うかといえば、国保には自己負担限度額があります。ほとんど全額が、国民健康保険で支払われます。
しかし、ある方向性のニュースが続出しました。「そう言うと思った」というお決まりのパターンです。
どう言う?
「保険がきくのはよいが、高額だけに、国民の負担と公平のバランスが課題です」。
「財源に与える影響は果たしてどうなのか」。
3回くらい読み直してみてください。
健康保険の薬価にも、財源論の勘違いが出まくり
「特定の人が超高額医療を用いて、貴重な財源から多額を一人で使い込む」。
報道はそう言いたげです。
明るい話題にネガティブな暗い影を加えています。
2億円にびびってる感がひしひし
これが国民に浸透した、財源論の間違った思考です。
財源論とは、飲み会の会費集めのように、国民からお金を集めて、そのお金を国の出費にあてるという間違った解釈です。
財源論が間違っている理由は、お金を使う政府が、お金を発行する役だからです。
政府はお金をいくらでも発行できます。
知らなかったでしょ。
財源論は、動物のオリのエサに似て、総量一定のお金を皆で分け合う思想です。全体量が減って不足すると、奪い合い、殺し合います。
互いの利益がぶつかる共食いです。誰かが多額を使えば、残りが減る解釈です。
一人だけいっぱい使うなよと、不満が高まりますね。
ありそうな不満
この不満は妄想です。
実際には国民健康保険は国の公的保険です。政府がお金を生み、支払っておしまい。
国民が払うわけないのか
誰かが珍しい病気にかかっても、円を追加発行するだけです。電子機器でヒョイとお金を生みます。命の値段を考えあぐねるよりも素早く、事務的に。
目の玉が飛び出る高額な医療費を誰かが使っても、政府が打ち出の小づちを振って新たに造幣して、財政出動で支払うだけ。だれも払わず、負担せず、ツケを背負わない。
要は公共事業みたいな?
一兆円の吊り橋と同様、国の通貨発行権で即解決です。負担も返済もあるわけなく。
・ 独立国の国家支出は公債の発行でまかなわれ、余剰分を徴税で回収する
この基本すら知らないと、「写真を撮られた人は魂を抜かれる」みたいな迷信で狼狽します。「治療薬で財源を抜かれる」と、叫び大騒ぎして。
マスコミは知らずに迷信へ走り、SNSのデマと似ているみたいな。
「街にトラが逃げたから気をつけて」の警告と同じですね。
マスコミ報道が、ハンディキャップ差別を強めている?
病気の子や親に、世間が白い目を向けるよう、険悪な雰囲気をマスコミが生む現実があるのです。国民の分断に結びつく報道でした。
ネットニュースを見ても、こんな締めくくりが多くみられます。
「高額医療費の支払いが、国民の重い負担になる」。
「財源を圧迫して、国庫がさらに苦しくなる」。
これは従来のフェイク報道のまんまですね。総量固定でバリアブルではない「国の財源」という架空モデルで、国民の不満をかき立てています。
もし多人数が使えば費用総額は爆上がりしないか?
治療薬の値段に最初から答が出ていて、少人数向けだから高いのです。多人数なら最初から1回9800円などでしょう。
推定した患者数で、開発費を割り勘にした計算なのでしょう。
ごく少数がまれな奇病にかかっても、巨額を投じられる現代文明の勝利です。
国民健康保険にケチがついた?
日本が誇る国民皆保険(こくみんかいほけん)制度は、健康で天寿を全うできたラッキーな人が、悲運な人の出費を分担して払う互助が発端です。この部分は人権先進国です。
だから高額医療を保険から外すのは、金が惜しくて見殺しを選ぶ妄想です。
まだ何かある?
注意すべきは、日本の保険料が累進課税の国税に等しい点です。つまり、保険料は消費を減らす害になっています。財源づくりは妄想であり、現に政府が国債発行して生んだお金を同額ほど足しています。
造幣による保険支援は、すでにやっていますから。
日本では、国税と国保保険料は同じものですよ。実際に国保支払いの総額は、昔からオーバーしていますから。今も貨幣を新発行して不足を埋めています。
普段からやってた?
政府はゾルゲンスマの金額どころか、はるかに巨額をすでに国債発行で払い続けているのです。国民が毎月払った保険料の範囲でまかなってなんかいません。
そうして政府負債をじりじり増やすことが、経済成長に含まれます。
他に予算オーバーしてるものはない?
気象衛星や偵察衛星の巨額の経費も、宇宙名目で出し合いませんね。国の基盤の出費は、特別会計の方に入っていたりします。
国民の暮らしに欠かせない突出した経費は、政府が代わりにこっそり支払っていることを知らないと、高額医療費の受給者を悪者扱いしてしまうわけです。
苦情を言う者が出かねない?
高額医療を受けた患者宅に、電話をかける者がたぶん現れます。
「おまえ一人で保険金をがっぽり使いやがって」。
「2億円の価値がある人材のつもりか」。
「俺たちの血税を返せ」。
「非国民め」。
珍しい病気への差別だけが残る?
差別は、差別主義者以外も先導するのです。
色々と知らない善良な人たちが、差別ムードのコアを固めやすい。フェイク情報が大手を振るって、さりげない差別を広めて根づかせている構造です。
国民が差別するよう仕向けてきた引率役が、実はマスコミだったわけです。
日本では、弱者は国家予算の負担とされます。財政の仕組みをみれば、負担ではなく成長要素になります。あべこべ。
何が一番悪い?
「税金で国の財政をまかなう」の真っ赤な嘘が、日本に広がりすぎた点です。
お金を出し放題の政府が、国民のかせぎが欲しいわけがなく。他意がある。
報道機関は何を一番知るべき?
世界各国の政府には通貨発行権があり、お金を必要なだけ発行します。
発行したお金は、政府の借入金ではなく、自己資金です。