自分のサイン入り漫画を古本屋で見つけた漫画家の落胆
これも、デフレ不況が庶民の暮らしを壊すエピソードです。
コハラモトシさんという漫画家が、お客が買ってくれた漫画コミックに、挿し絵とサインを書いたそうです。後日古本屋さんで見つけ、がっかりして買い取った話題です。
大事な作品にサインを入れて渡したのに、相手は二束三文で手放したように思えたからでしょうね。漫画は楽な仕事ではないし。
でもこれ、遺品が整理されて流出したのかも知れませんね。蚤の市にお宝が混じっているケースです。夫の遺品を整理屋さんにまかせたかも知れず。
この話題に集まったネット意見に、一番大事な話は抜けていました。
よくある意見は?
二つに大別できるでしょう。
「特別な記念品だから、売ってしまうのはよくないね」。
「売るのは自由なのに、何の権利で売るなと言うのですか」。
低い確率ですが、持ち主本人が売り払ったなら、深刻に受け止めるべきはこれです。
「人々にお宝を手放させる貧困化に、人々はノーと言わないのですか」。
上級国民さえが、徐々に貧困化し始めている点に注意
日本は23年もデフレ不況なのに、政府の緊縮財政と消費税増税という逆走を23年続けています。凍傷で紫色に変わった足を、氷で冷やし続ける政策です。
すぐ温めろと言う声はあります。しかし改善を阻止する力が強いのです。
他の国が「クレージー」とあきれる逆走に、日本人は大まじめに日本つぶしにいそしんでいる最中です。この貧困の果てに、日本再生があると勘違いしながら。
デフレスパイラルが慢性化して、GDPは伸びず所得が減れば、お宝グッズを持ち続けるのも困難です。生活保護だと、金目の物を全て売り払うよう役所から指図されます。
後で復活できないし
貧困化といえば、学も芸もない負け組の話に思えますが、近年は医者や弁護士や銀行マンにも貧困傾向が目立つのです。
昔はけっこうな収入があった特殊技能の歯科技工士なんて、今どきは袋張りの内職に似てきているとか。歯につける金属インレイの製作費も一個何百円だとか。個人の資質の問題ではなく、日本全体のデフレ不況が原因です。
日本で儲かる職業は、株投資や起業など金儲けを教える指南塾くらいでしょう。儲け方の本で儲ける人だけが浮かばれるという。企業コンサルなんかも同じ。
「漫画をどうしようが所有者の勝手だ」の次元ではなく、国民の深刻な貧乏状態を論じて欲しい気がしますね。
その先に産業の衰退と、国際地位の下落がひかえています。
先進美術館構想、リーディング・ミュージアム構想も
お宝を手放させる貧困問題は、個人のサイン入りコミック本だけではありません。
たとえば公立美術館にある歴史名画名作も、館の財力で保管しきれないと、手放すことになるかも知れません。
政治が手を回してきたのが、先進美術館構想(リーディング・ミュージアム構想)です。
先進とか、聞こえはいいけど
新自由主義経済の構造改革と規制緩和の一環で、日本の文化財をインフレ好況の国へ転売して手数料で儲けたい、ブローカーの発案なのです。
貧しい家庭が子どもを売るのと同じで、「売ってよい」のお墨付きです。売買を仲介するピンハネ産業が、国会議員に法律化させる貧困化ビジネスです。
同様に企業も流出してるか
日本はシャープ株式会社を手放し、台湾企業の手に落ちました。
シャープの社長や役員がマヌケというより、日本が家電企業に養分を与えられないほど、金銭が枯れた地に変化した貧困化が本質論なのです。
産業の土壌となる国民所得を故意に減らす政策で、作物が実らなくしてあるのです。
国民が怒ってないのが不気味
「企業がどの国に籍を置こうが勝手だしね」と国際化を喜ぶうちに、日本の資産や金づるが持って行かれています。じりじりと日本は資産をはぎ取られているのです。
シャープを国内企業が買収することは、同じ理由でできなかった。
国内の他社もまた、緊縮財政と消費税増税で余裕が乏しいからです。
コハラモトシさんのサイン入り漫画に「それ欲しい」が出にくいのも、デフレ不況のせいでしょう。お金が大事で大事で、商品がどれもつまらなく見えるのがデフレです。
インフレ好況なら、プレミアムグッズはすぐにハントされます。