死刑囚の生活費は、年間に何円かかっているのか
「死刑囚を長く生かせば税金がかさむ」の声は昔から聞かれます。「いや、費用はかさまないよ」と否定する声は極めて珍しい。
死刑判決が出ると、犯人とされる者は拘置所に住みます。禁固や懲役でなく服役でないのですが、一説で一人のコストは年間600万円だそうで、刑執行まで17年なら1億円です。
長くて何年くらい?
ピアノ殺人事件(1974)の犯人は、事件から46年、判決から43年たち、今も拘置所にいます。集合住宅で騒音を出す側の近所迷惑ぶりが、後世にクローズアップされるにつれ、実質減刑したとも言われます。
あの事件以降、住宅供給会社は壁や床を厚めに設計施工しているとか。
これに対して「税金を食いすぎるから、法律どおり判決から6カ月以内に執行して、死刑囚がたまるのを防ごう」の声があります。
今のように日本全体が貧困化すると、死刑なら執行を急ぎ、懲役なら短期でシャバに出して経費削減せよという意識も起きます。
一方で被害の悲惨さに、厳罰に処したい思いも国民にあり、お金が理由で減刑はまずいと思う人もいるでしょう。
拘置所や刑務所の経費は、本当に税金で払っているのか
囚人に費やす税金がかさむのは、本当でしょうか?。
もちろん、ウソに決まっています。
金額が小さくて誤差の範囲だとかではなく、税金はそもそも財源でないからです。
国民は負担なんかしてない?
国税は貨幣価値の安定と、格差縮小などが目的で厳格に徴収します。国の出費コストは、通貨発行した新造の貨幣を使います。
国の政府が、お金を追加発行して支払います。
刑務所や拘置所の場所代やメシ代や管理代は、税金でなく貨幣発行です。
お金を発行した犠牲は何?
マイナスの犠牲はありません。プラス効果は経済成長です。囚人にかかるコストの分だけGDPが増える仕組みです。
新造したお金が看守以外に、備品の納入業者や内装工務店などを通し、市中のお金に足されます。国内の貨幣量と商品量のバランスが崩れ、インフレ好況になります。
つまり刑務所の囚人が多いほど、好景気になります。国民は幸せになります。
が、これこそ誤差の範囲で、景気テコ入れが目的で執行を延ばす効果もないでしょう。
税金は一切使われない?
使うも何も、国税は支払い用に徴収する筋合いではありませんから。税金を使う分野と、使わない分野があるという話ではなくて。
国税の徴収は、景気を冷やして消費を落ち込ませて、物が売れなくする目的で行います。困った一面や気になる副作用でなく、消費のブレーキが主目的です。
人それぞれの解釈や思想ではなく、原理的にそういう特性です。
なら増税後の消費対策は何?
増税で消費が落ち込む対策など、狂気か勘違いか悪だくみ以外に考えにくいでしょう。
増税は、超インフレのきざしが出た時に、消費をより強く落ち込ませる政策です。だから「増税すると消費が落ち込んで、やべー」と言うのは狂っています。
国会議員がデフレで増税するのは、基本原理を知らないのもあります。
具体的に何を知らないの?
各国に通貨発行権があるという、国際的な制度を知らないのです。
国が払うお金は国債を発行して、自国通貨の追加造幣で行います。
発行した自国通貨は、政府の借入金ではなく、自己資金です。
母親の母乳が、借りたミルクを出すわけでないのと似て。
そりゃそうか
自己ミルクを、母親は誰から集めて、誰に返すのでしょう。
自己資金を市場へ送った一部を間引き、お金のだぶつきを整理するのが国税です。国民の爆買いで店の棚が空になり、お金が紙くずになるのを防ぐ。通貨価値を守る。
税金は財源ではないのです。
この現代国の財政ロジックは、議員の知性を試す思考力テストになっています。
終身刑を設けない日本は、税金を気づかっている?
ネット動画で、アメリカで酒気帯び運転した女性が業務上過失致死を問われ、判決は懲役15年でした。日本は禁固6カ月と30分の1の時代が長く、被害者も社会も不満でした。
そうした甘い刑罰の容認論に多いのは、刑務所に入れたら税金がかかるから、国の出費を減らすために刑期を短くせよとの、いつもの財源論です。
「終身刑だと70年間ムショ暮らしで、税金がいくらあっても足りないしー」と。
終身刑の導入にノーなのは財源論が大きい?
刑期が変に短い判決が出ると、税金への配慮とうわさされます。厳罰に処したい感情と、税金を浮かせたい感情が国民のジレンマです。
税金への誤解は、日本ではすごい広がり方です。何も知らない人より、ウソで理論武装した人が多い。Yahooニュースの意見投稿など、勘違い率100パーセントです。
日本全国から数千人が投稿して、「国の金は俺たちが納めた税金だ」が埋め尽くして。
上の人はわかってるの?
そこです。
日本を動かすリーダーたちまでが、税の無駄づかいという概念を信じている疑いがあるのです。上級国民までが財源論で考えて、国民に重税を課して正義の顔をして。
ひとつがガソリン税です。車が売れなくなるほど高いのは、リッター53.8円が刑務所の経費にもあてられる嘘を、政策側も信じている疑惑です。
また消費税増税の動機は、輸出企業が還付金を受ける益税制度です。増税願望は経団連の自動車メーカーと言われますが、税がかさみ車購入を見送る客が増え、メーカーは被害者でもあります。
他国は「庶民は誤解、エリートは理解」です。日本は「庶民とエリートが仲良く誤解」。
ありそうな気が
デフレ期間は政府が国債を例年より増やして、同時に税率を下げて好景気に戻すのが世界標準です。しかし日本では全く知られません。
日本では、デフレで増税する奇行が常識で、庶民はチンプンカンプンだし。
「徴税は国の貴重な財源づくりだ」のウソに、トップもなびくとどうなったか。
ただネットが普及し、「全てウソだった」と知る人が増えたのも確かです。
「国の支出金が国民のサイフに入るとは、目から鱗」。
「無駄づかい分が経済成長だなんて、知らなかった」。
「税金は市場から捨てる余剰金と知り、驚きと納得」。
明るいきざしの投稿もあります。