日本で打ち出の小づちを振ってお金を生む上限は何円まで?

打ち出の小づち通貨発行権

日本円の打ち出の小づちは、いくら振っても大丈夫?

「消費税を減税します」「撤廃します」と聞けば、日本人は次の心配をします。

「減った財源をどう穴埋めするか」。

この認識は逆です。正反対を頭に覚えてしまっていて。

・ 国の支出は、全て貨幣プリンターで新発行する
・ 国の支出の意味は、国民から物を買う通貨ばらまき
・ 国が支出すればするほど、お金が増えて富裕化が進む
・ 増えすぎた余剰金を、年末に回収する後始末が徴税である
わくわくするほど皆の頭の中と逆だ!

税金とは、だぶつきすぎた自国通貨の廃棄処理であり、余剰金の間引きです。

税金は財源ではないのです。

回収した税金は捨てて、実際に消えています。捨てた数字を政府預金へ還流させ、消滅を実現しています。

それがどう誤解されてる?

「財源を確保するために徴税する」が財源論です。

「国民に税金を差し出させ、国の予算をつくる」という嘘の作り話です。

誰もがそう思ってるけど?

全くの間違いです。白米や銀を徴税した、昔の感覚が抜けない時代錯誤です。

この時代錯誤なお金を実物貨幣商品貨幣と呼びます。これだと、国はどうかしたはずみですぐに崩壊します。

そこで貨幣を書類(信用貨幣)に変え、政府が増減する方式へと人類は変えていました。管理通貨制度と呼びます。打ち出の小づちだと知らない人がとても多いのです。

打ち出の小づちは無限に出せる?

貨幣プリンターを動かせる限界はあるのか。ありません。

しかし、これ以上お金を増やすと多すぎて値打ちが下がる、その上限の目安はあります。

日本の政府支出240兆円は多すぎるのか

日本政府が年間に出すお金は240兆円です。そのうち通貨発行は90兆円前後で、打ち出の小づちを振り続けているのは確かです。

仮に打ち出の小づちで毎年90兆円出すとして、なぜ9兆や900兆でなく90兆か。何が理由で90兆に落ち着いているのでしょう。

激増させたらどうなる?

いっそ毎年の政府支出を現行の240兆円から、5倍の1200兆に爆増して、通貨発行額も1000兆に激増させれば、日本の貧困は一発で消えそうに思えますね。

そうしない理由。政府は何を恐れて、毎年の通貨発行1000兆へドカンと増やさないのか。

何を基準に発行額を決めているか?。というより、何を基準にすれば正しいのか?。

何だろう

国内の生産力です。

商品を日に何個作れるかが、お金を発行して国民に持たせる上限です。

商品の種類も数量も多いと、いつでも店頭で買えて、お金がだぶつかないから。

貨幣プリンターでお金を発行する上限は、国内の生産力

生産力とは、たとえばタコ焼き屋さんが一日に何個焼いてお客に渡せるかです。一日300個は楽に焼けますが、3万個は難しいでしょう。3000万個は全く無理。

お金が増えてふところが温かいお客は、多種多様な商品を、個数も多めに買います。

2千個しか焼けないのに、注文が3千個あれば、供給が不足します。買えない人が続出すれば、タコ焼きはレア化します。希少価値で1個が値上がりします。

物価が上がるということは、貨幣の価値は下がっています。

この物価上昇、つまり貨幣価値の下落がインフレーションです。インフレ

年間の物価上昇割合、パーセント数がインフレ率です。

インフレが起きたらだめなの?

インフレは二つあります。良性のデマンドプル型と、悪性のコストプッシュ型です。

デマンドプル型インフレは大歓迎です。ほどよいインフレだと経済成長して、皆の給料や報酬やバイト料が上がり、目に見えて裕福になるからです。

ところが、ありがたい範囲があります。良性インフレ率が年に2から4パーセントなら、商品不足はほどほどで、値上がりはゆっくりです。増産すれば経済成長します。

インフレは理想なのか?

これも国民は正反対に覚えています。

物価が上がるのがなぜ理想かは、物価以上に所得が上がるからです。人件費も物価です。事故死した慰謝料、命の値段も物価です。

その適度なインフレ率に届かず、マイナスに割り込めばデフレで、経済成長とは逆に経済衰退です。平成中盤以降の日本は激しいデフレです。

良性インフレがオーバーならどうなる?

お金の増え方が急激だと、買う人が増えすぎて供給がさっぱり追いつきません。すると物価上昇率が年10パーセントなどに高まり、商品不足に陥り値上がりが極端になります。20パーセントや100パーセントなどに。これが超インフレです。

超がつくインフレとて、飢え死にが増えるデフレよりはましです。でも、物価が無駄に上がりすぎて不便です。

そのように、無駄に物価が上がるのは、お金が多い割に商品が少ない場合です。

つまり生産力が低いとインフレになり、お金の発行量が限界に来やすい。

日本が世界一インフレが起きにくいのは、速やかに増産できる器用な国だから。

具体例は?

バブル時代1989年の物品税廃止で、キヤノンやニコンの一眼レフカメラの高級レンズが爆売れしました。300ミリF2.8望遠レンズなどが半年も生産待ちで。でも結局は増産し途中に値上げしませんでした。価格は50万円前後のすえ置きでした。

300ミリF2.8望遠レンズは日本とドイツだけが製造販売でき、ドイツの製品は日本がOEM生産や部品供給しています。何でも速く多く製造できるのが日本人です。だから。

世界中で日本は特に、打ち出の小づちを多く振れます。政府負債1100兆円と、世界三位につけているわけです。一位は中華人民共和国、二位はアメリカ合衆国。

超インフレが起きる国は、生産力が不足しすぎ

ジンバブエのように、工場と従業員が少ない国では、打ち出の小づちを少なくしか振れません。多く振って貨幣を増やしすぎると、物価が簡単に上がるから。日本と大違い。

300ミリF2.8望遠レンズを製造できないジンバブエでは、日本製を輸入しても、価格を保てず10倍や100倍に値上がりします。

インバーター式かまど炊き炊飯ジャーや、反射式天体望遠鏡やデジタルシンセサイザー、電動アシスト自転車や水素自動車、レーザーカッターロボットやマイクロコンピューターチップや、人工衛星や小惑星探査機。

それらをホイホイ増産できる日本と違い、ジンバブエは打ち出の小づちを存分に振れず。だから経済規模も小さい。

お金の発行は無限なのに?

中国やアメリカや日本を真似て、ジンバブエ政府も打ち出の小づちを振りまくれば、多額のお金を好きなだけ発行できます。各国の自由です。

でも商品を補充する工場が国内になく、商品が枯渇し物価が高騰、お金の価値は暴落し、紙くずになります。タコ焼き1個が1億円、給料は8千億円だとか。

タコ焼きを中心に考えると、ジンバブエの1億円は日本の25円にあたり、大暴落です。

生産力が経済規模ね

お金の使い道が多い国は、お金を多く追加発行できます。

今すぐ自国通貨をドバッと発行しても、物価が保てる国が経済大国です。

日本は逆にお金を少なく発行しすぎて、国民が物を買えずに生産力が余り、企業が無駄に倒れています。通貨発行を激増しないと、全く釣り合いません。

1990年代末に政府がお金を多めに発行していれば、福島原発の弱点は修正できました。しかし経費削減して改良を見送り、津波で爆発しました。

そういう理屈か?

国際的な大事件が起きると、世界のFX投機家はドルやユーロを売って円を買います。

「円が買われ、円高になりました」の報道は、中東の地域紛争が起きても、すぐにラジオから聞こえてきました。

インフレ率の予想は計算式で出る?

今年より来年の景気が上がるかは、数式計算では出ません。庶民感覚で予想します。

なぜなら、景気は気のものだから。消費動向はユーザー心理です。心理学や脳科学に近いでしょう。数式計算への無意味な信仰は、デフレ不況を解決できず無力です。

政府による通貨発行量の上限は、その国の生産力で決まります。各商品の増産が素早い製造強国では、お金を多く発行して経済規模を大きくできます。
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