大塚家具の社長は無能か:会社を傾けた本当の犯人は他にいる

家具と絵画

大塚家具が売れない理由を、今も指摘できない報道

2020年10月28日の報道で、大塚家具の久美子社長が辞任します。父が育てた高級家具店の収益が落ち始め、半ば奪うように株主総会で引き継ぎ、合理的経営を目指しました。

結果は出ませんでした。

大塚家具が近年に業績悪化した原因について、ニュースの中でも論者が分析しています。その説明は、ほとんどが的を外しています。

よくある論はこうです。

・ 父と娘の争いが世間に公となり、イメージダウンになった
・ 会社が二つに割れ、社員たちのモチベーションが落ちた
・ 往年の会員制が、今の風潮に合わなかった

ほら、また始まった。

かんじんの時代トレンドが、コロッと抜けていますよね。

大塚家具が売れない理由は、日本の平成デフレ不況

大塚家具が売れない理由は、デフレです。平成デフレ不況です。

学校の給食費を払わない家庭が増えた理由、生活保護世帯が増えた理由、ブラック企業が大流行したり、雑誌『JJ』が月刊をやめる理由も、みんな同じ。

大阪府が赤字団体に落ち、大阪市の自治権を巻き上げて、豊富な資産を外資に売り払い、府の借金を穴埋めしたい理由も同じです。

デフレだと物が売れないから。

日本が28年間不景気で、23年間デフレ不況を続けているから、大塚家具は不振です。

なぜ国民は大塚家具を買わない?

買うお金がないから。

1997年4月1日の緊縮財政と消費税増税で、国民の可処分所得が大きく減ったからです。税金は財源ではないのに。付加価値の高い商品が、国民の購入対象から外れました。

消費税で起きた変化がこれ

要はカネがないから、本物志向の製品が買えないのです。

高級木材で作られた家具を買う人が、がっくり減りました。安いプラケースや段ボールでいいやと。営業努力の問題ではなく、低所得な国へと変えたからです。

非正規社員やワーキングプアが、大塚家具を買うでしょうか。

大塚家具が買えない貧乏人の巣窟に、日本国を変えた事実を書かないとだめ。

家具に限ったことではない?

大塚家具は高額、高付加価値です。ノリ弁でなくウナ重、軽自動車でなく大型SUV。

親子騒動で嫌われたかにみえても、では他店で北欧家具が売れるかといえば、さっぱり。富裕層だけのニッチとなり、以前のように広範には売れなくなりました。

大塚家具に近い立場は数多くあります。

最近だと県知事や市長の公用車です。トヨタ・センチュリー(4000cc、12気筒)を見つけて「ぜいたくは敵だ」と批判が巻き起こる貧乏性もまた、97年から続いています。

バブルの好景気を終わらせ損ね、盛大にコケた日本経済

高級家具の売れ行きが目立って落ちたのは、バブルの後の不良債権処理の頃です。

あの時、ゴルフの会員権が暴落し、ゴルフ倶楽部は解散、ゴルフクラブやゴルフボールも売れなくなりました。銀座の高級クラブも没落しました。

すぐに高級品で不景気が広がり、やがて食材の使い回しや産地偽装ブームも起きました。アスレチッククラブやスキー場、遊園地などレジャー系、博物館や小動物園など文化施設も次々と閉めました。各地の観覧車やスライダーも撤去して。

それらは社会問題だから、トップ個人の能力で論じたらだめ。

バブル後に日本はどうすべきだった?

銀行が発行(信用創造)した円を回収(信用収縮)して消して回った時、政府が円を追加発行して300兆円の財政出動で埋めれば正解でした。G7国はそう要求しました。

しかし日本人はお金の本質を知らず、政府は通貨削減を始め、原理どおり一気に貧困化し自殺がどっと増えました。自殺の定義を変えて少なく見せかけたほどで。

国を毀損した20数年後、コロナ自粛でGDPが落ちた2020年5月に、一転して国債発行し真水の給付金で補いました。すでに70兆円以上。正しい造幣で自殺者が減りました。

今度こそ汚名返上か、と思いきや・・・

その後「もうカネは出さない」の逆走宣言で、一転して自殺が増え始めました。

なぜお金の追加発行を中断した?

日本人はお金の意味を誤解して、お金を惜しんだのです。

使えば減る、使わなければ減らない、だから使うなと。

実は、現代のお金は貸借関係の記録情報にすぎず、政府が使用権を与えるチケットです。足りなければ政府がボタンを押して追加し、全体量を増やすだけ。人工の買物券です。

お金はハードウェアではなく、ソフトウェアなのです。

日本国(政府)がお金を使う時、日本円を追加発行して支払います。

追加します。有り金の合計が、減るのでなく増えるのです。

記事→ お金はブツでなくジョウホウ

しかし大勢が、お金とは石油や金銀サンゴやウナギの稚魚と同じで、守るべき貴重な天然資源の一種だと思い込んでいます。

人間が発券する仕組みなのに、天からの授かり物だと勘違いしています。

道具にすぎないお金の意味を理解できないのは、金銭価値に目がくらんでいるから。

だから国の支出が増えると、国民の命をいくら犠牲にしてもよいから、国庫の残金を守ろうという狂った発想になるのです。狂っていないつもりで。

日本人にとってお金は人命より大切で、かけがえのないお宝と化しています。

お金を死守して何が悪いのか、大勢がピンとこない。

大事にしまって使わない?

他国の人も、政府がお金を出し放題だとは、あまり知らないでしょう。しかし・・・

他国の人は、自分がお金を使えば、受け取る相手も同様に使うから、自分に戻って来るというくらいは知っています。お金は行き来すると。中華人民共和国の人もそうです。

日本人とは違い、彼らはお金が人生の目的でなく、得られる品々が目的です。

バブル後は日本の誰も知識がなかった?

「国が出すお金は、みんなの税金を使っている」という勘違いの妄想で、円の追加発行をせき止める暴挙となり、日本経済は右肩下がりを続け、企業は売れなくなりました。

お金を使えばGDPが上がる経済成長さえ、ほとんど誰も知りませんでした。

今もいっしょかも

「お金を使わなければ損失を防げて、備蓄させれば徐々に増える」と、ガソリンタンクのような間違ったイメージを皆で共有して、経済の動きを止めています。

政府がお金を自在に発行し、増減の調節も自在だと、今も知らない人だらけです。

政府が使うお金は新発行した円であり、政府の借入金ではなく、自己資金なのです。

日本にとって円の調達は無料です。

有料と言うなら、誰が誰にいくら払うのでしょうか。

過去に国民に請求してきた原告は、一人でもいたのですか。

だーれも答えないし

自国通貨を発行したツケは数字が残るだけで、多い順に経済大国です。

ものすごく偉い人も、政府と自国通貨の関係を知らず、地位だけが高いのです。

その上「売買を縮小すれば、お金が減らずに残るから、経済は強くなる」と、日本人だけが考えています。経済団体さえがそう。

本当は売買を縮小すれば、経済は弱まります。あべこべ。

縮小が大好き日本人の、ひとりぼっちの独走だぜ、イェーイ

商品の売れ行きファーストなのに、お金の温存ファーストに財界も努めた逆走です。

大塚家具が生き延びる道は?
・ デフレ不況の日本を出て、インフレ好況のUAEへ引っ越せば売れる
・ 得たお金を与党に政治献金し、緊縮財政と消費税増税を中止させる

国民所得が高い国へ脱出するか、国民所得を上げるかです。

日本以外ならどこでも成功する根拠

あるいは物づくりをやめて、人材派遣など貧困なほど儲かる分野へ転向するとか。

アメリカンレストランのフーターズが日本上陸して当面ヒットし、コロナ前の2019年に店舗撤退が進みました。世界各国はインフレ好況で、日本だけがデフレ不況で、ユーザーに飲み食いする金がないだけの話です。

にぎわっているのは飲食店でなく、富士の樹海だったりするわけ。

大塚家具が売れる日まで、日本のデフレ不況は続きます。わかりやすい関係です。

出資したヤマダ電機は早く日本を見限るべきか?

IMFがジェノサイドを促進した疑いで糾弾されるのを恐れ、積極財政でも呼びかければ、世界同時好況へ向かい、日本も貧困化の継続が困難になるかも知れません。

日本政府が緊縮財政を中止し、円の追加発行を適切に続ければ、デフレ不況からインフレ好況へ戻ります。日本は世界一住みやすい国に復帰するでしょう。

するとお客は親子喧嘩への興味が落ち、毎日をエンジョイしたくて商品へ関心が向かい、大塚家具の各支店はまたにぎわうでしょう。

好景気だと、他人の弱みにつけ込んだり、締め上げたい気持ちも薄れるからです。

つーか、景気がいいなら親子喧嘩してないわ

デフレ不況だと、国民の分断にとどまらず、家族間でも共食いが起きる例ですね。

記事→ 日本国民の経済観は全てが間違っている

記事→ 日本経済のデマで起きたテロ事件がこれ

大塚家具は、好景気だといくらでも売れる本物志向の製品で、だからデフレ不況の日本ではまるきり売れないのです。経営手腕を論じても無意味です。
Photo: by Sidekix Media on Unsplash