株価が景気とかけ離れる理由:老後の生活費をNISAで作れるか

株価チャート

デフレ不況で貧困促進する中、株が上がるマネーゲーム

株で儲ける売買手順は、主に二とおり。

・ 買いポジション = 安く買って、値上がり時に高く売って、差が儲け
・ 売りポジション = 高く空売りして、値下がり時に安く買い戻して、差が儲け
売りポジションて、わけわかんない

所有していない株でも売れるよう、休眠株を持つ他人から借りるシステムがあります。

株価は、買うと上げ圧がかかり、売ると下げ圧がかかります。買いたい数より売りたい数が多い時間は、下がり続けます。

株価の急落時に、皆が投げ売った以上に下がるのは、空売り勢が便乗して売り下げるからです。大口投資家が大金を投じて、故意に値崩れさせてよいルールなのです。

「売りあびせ」「売りくずし」の語がそれで、株価下落をわざとオーバーに演出します。空売り制度は、価格操縦そのものです。

価格操縦は違法なのになぜ許される?

空売り制度がないと、価格の動きはおとなしくなって、トレード客が幻滅します。

そこで、株売買の損も益も誇張して、巨額が動くドラマで一獲千金の夢をあおる。

ドラマの進行役は誰?

機関投資家と呼ばれ、大口取引する金融企業です。ひとつがヘッジファンドです。

ヘッジとは異種類の投機を混ぜて、リスク配分しながら利益を最大化する意味です。株にカウンターさせて銅や小麦も売買するなど。投機商材なら何でもあり。通貨や国債も。

人工知能AIソフトを入れたコンピューターの接続が許可されています。個人は接続禁止で、証券会社が貸す手動アプリを使う義務です。

人の手だと、買うのに10秒に1回でも困難でしょう。一方機関投資家のAIソフトのマシンだと、1秒に1万回も売買できます。当局も追跡不可能な超高速スキャルピングです。

株式市場は大口機関投資家が主役であり、個人投資家の資産を巻き上げる場となる
つまり株価は操縦が前提か?

投機会社筋が出す「レーティング情報」もそう。個別銘柄の今後の目標値のリストです。この会社はアップで、これはダウンだと示されると、やはり株価は動きます。

変動振幅が大きいと、個人投資家が長者を夢見て売買に参入してきます。証券取引所は、ビッグマネーで株価を大胆に動かす海外ファンドたちに、販売促進の恩ができます。

外資が投入可能な金額は、東京証券取引所の一日の売買合計より二ケタ多い。全部の上場銘柄(公開分3950社程度)をハンドリングできる資金力です。

日米の株の動きは似てるね?

世界の株価は、米ニューヨークダウ平均に連動します。NYダウの急落時は、米S&P500や米ナスダックも似た下がり方です。翌日の日経平均やTOPIXも、急落が多い。

東京証券取引所の売買総額の7割は、英米スイスを中心としたファンドです。日本の株はアメリカ株を追う動きとなり、陽線と陰線や、押し目の日が一致しやすい

・ 米国 = 積極財政と減税のインフレ好況 → 企業業績が良好で、株価は上昇
・ 日本 = 緊縮財政と増税のデフレ不況  → 企業業績が不良で、株価は下落
・ ところが株の動きは国際的に連動し、米国株の上下動で日本株も上下する
株価が動くメカニズムで大きい要因は何?

おそらく株価チャートでしょう。

江戸時代の日本に世界初の先物市場ができ、大坂の米相場で成功した本間宗久が考案した「ローソク足」と呼ぶ記号があります。明治に確立して国際的に採用され、株価の四値と変動を時間ごとに並べたのが株価チャートです。

そのチャートが今後の株の動きを暗示し、機関投資家が特注したAIトレードソフトも、チャートを重視しています。

株価チャートと基礎データの組み合わせが、株価を左右しやすい。

地合い、移動平均線、上値抵抗線、下値支持線、売り残、買い残、出来高、仕手、
騰落レシオ、ボラティリティ、SQ、TOB、裁定取引、ご祝儀相場、銘柄入れ替え

株で儲かる個人は、個人全体の5パーセントと言われる

株価には、マネーゲームである面と、実体経済を映す面とがあります。

マネーゲームのシナリオは?

機関投資家が一度に売買すると、大量ゆえに価格の上下動がジェットコースターになる。売っている間に買値より落ちたりして。そこで安値の時期に買い、十分に上げてから売るシナリオになります。

1.売り崩して、うんと下がった株を買い集める
2.所有を増やしつつ、上下動させ徐々に上げる
3.最後に高騰させ、うんと高く売り抜けて去る
上げ下げのタイミングに世界情勢を使うわけね

株を動かす事件を「材料」と呼びます。

・ 四季報、四半期決算の業績で、個別銘柄を急騰や急落させる
・ 米FRBの利上げや利下げに合わせ、全株を急騰や急落させる
・ 政治的な発言やイベントの動向によって、全株を上下させる
・ 特に先進国に地震や津波などが起きると、全株を急落させる
・ 戦争が起きると、軍事株を急騰させ、それ以外を急落させる

株価はシナリオと材料がミックスされて動きます。しかし、材料が国民の暮らしに与える影響と、株価に与える影響は等しくなく、しだいに国民生活とはかけ離れます。

日本だけはコロナ増税して、国民を所得削減させて貧困を強めたのに、株価は他国並みに2.4倍に高騰したのは、マネーゲームの一面です。

一方、米国株が上昇した翌日に、日本株だけが下落することも多いのは、日本経済の右肩下がりや、政策の逆走と関係するでしょう。

何もない時の上下動は何なの?

チャートによるシナリオです。今後上げる株を奪い取る「振るい落とし」もそう。AIで売り下げ、これでもかと個人に損切りさせ、買い集めて待機、急上昇させる。

高くない価格で個人が利確売りする「上値が重い」現象への対策です。

5万株売りながら9万株買い集める方法は、資金が小さい個人は真似できません。

法則があるなら、個人もNISAで勝てそうだが

正反対の動きに翻弄されます。AIは個人の売買を推測し、個人が損するアルゴリズムへとプログラム設計されます。個人が買えば下げてきて、売れば上げていく即応性。

しかも株が動く法則は、AIが開発される以前から恣意的な面があります。

・ 理想の好業績が出たのに、売られて急落して大荒れ、いわゆる材料出つくし
・ 将来が期待される情報が出るとストップ安へ落ち、一時間後にストップ高へ
大事件にはガチで反応してるけど

リーマンショック(2007)、東日本大震災(2011)、新型コロナ(2020)、ロシアウクライナ戦争(2022)。大勢がパニック売りしたので、素直に暴落しました。

そして機関投資家は空売りで売り崩して、安値で大量に買い戻しています。空売り残高が公表されるまで時間差があり、後でわかります。

個別銘柄の違いは決算の良し悪ししだいか?

その基盤が、国全体の経済成長です。GDPの伸び。

経済成長とは、お金を大勢が持つから、物やサービスを買うから、メーカーが増産するという躍進を指します。企業業績が好転し「上方修正」が増え、株価が上がりやすい。

アメリカ経済の強さは、追加発行したドルのばらまきが多いからです。

日米の株の違い(2021年版)

グラフを見ると、日本株は売り崩されて振り出しに戻るピストン運動です。短い期間だけ高騰して、それ以外は安値でウロウロし、これは仕手株の動きです。

日本では個人投資家の5パーセントが得、5パーがゼロ、90パーは負けて損します。

日本人は国策でかませ犬にされるのか?

NISAを拡大する知らせを、総理が英ロンドンのシティー(証券金融業の街)へ出向いて発表したのは、現地に儲けさせるアピールです。負けて損する日本人を増やす意味。

日本でも株をやる個人が増えてるらしいが

政府に金欠は絶対に起きず、税金は財源ではない。税金は余剰金の抹消です。しかし日本だけは「国費は国民が負担」の嘘が通り、緊縮財政と増税で「失われた35年」です。

税は捨てるお金なので、国民は金欠になり金づるを探す。詐欺や強盗の闇バイトと無縁な無職を株へ誘い、機関投資家のエサにするシナリオかも。外資は政権を応援する。

新自由主義は不労所得を尊びます。宅配や介護などきつい仕事ほど低賃金にして、口利きで大儲けして左うちわが新自由主義の理想なのです。

小学生が将来ユーチューバー志望なのは、真面目に働くと貧乏になると知ったから。

株の売買は不労なの?

株の売買はGDPに入りません。GDPに入るのは証券取引所と証券会社の人件費や設備費の部分だけ。株取引は労働生産でなく、経済成長から除外されます。

企業や技術や土地建物を、株のように奪われる日本

新自由主義は、企業をも株のような投機商材へ変えます。企業を安く買う主義。

レジャー産業でも、ニセコスキー場やハウステンボスは外資に移転されました。

消費税で貧困化させると、企業買収やM&Aが進みやすい。税率を無限に上げて経済衰退させ、急落した国内資産を外資の所有へ移すレントシーキングです。

・ 貧困化で買い物が減り、企業は売れず、技術が高いのに時価総額が下がる
・ 貧困化で気落ちした国民は、貴重な技術を奪われようがどうでもよくなる
町工場のような零細は、外資も手が出せないよね

そこで中小企業をつぶして上場企業に吸収させ、その上場企業を売り崩して、ファンドが株買収してオーナーになる段取りなのです。農業の株式会社化も同じ。資源の外資移転。

政府が通貨削減してお金を減らしつつ、所得減を企業に責任転嫁し最低賃金を高く上げるのは、技術を持つ中小企業を倒産させてから、外資に安く献上する目的です。

日本企業を買収した外資は、次に何をする?

自動車メーカーで、社長を交替させて社員をまとめて解雇すれば、経費は大きく下がって黒字化した「好材料」で株価が上がり、高く売り抜けられる。

正社員を非正規に替えた改革も、従業員の賃下げ分を株主に回す国策です。

新自由主義はお金が全てで、元社員の家族が路頭に迷おうが関心がない。自己責任論は、クビ切りを自由にする意味でした。

外資が冷酷で非情なのは、別の民族だからです。

株価が国民の暮らしとかけ離れる理由は、マネーゲームのシナリオ分岐点に実体経済を利用しながら、大口投資家が個人の投機資金を奪う場だから。
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