成長分野を伸ばせば経済成長する→この選択と集中で日本は落ちた

プリントTシャツ

成長分野でイノベーションさせる、間違った成長戦略

よく聞く言い方。

「国は成長分野に資金を投じて、イノベーションを起こして経済成長させよ」。

選択と集中は、もっともらしく聞こえるが

お金を勘違いした人の発想です。

通貨はデジタル数字のヴァーチャル金券です。それを石油や象牙などの貴重な天然資源に見立て、金庫の一万円札を守り使い惜しむ発想です。

税金は財源でないのに、財源とするから、大事に大事に保護する勘違いです。

つまり財源論や貨幣のプール論か

お金の発行を政府が必要なだけでき、通貨の総量を自在に増減できるとは知らない者が、「選択と集中」という誤った支出削減で、国を空回りさせています。

長男のこづかいを千円上げれば、長女を千円下げる、不幸な空回りです。

経済成長の定義は、GDPが前年より増えること

経済成長とはGDPの上昇です。買い物した総額のアップを指します。

名目GDP = 消費 + 投資 + 政府支出 + 輸出入

国民と企業と政府が、お金を使い込んだ規模が、成長した規模です。

みんなの頭の中と全然違う

おにぎりを2個買った昼食で、3個買えば経済成長は1.5倍です。多くの分野で大勢が出費を増やし続ければ、GDPは有意に拡大して経済成長を果たしています。

天体望遠鏡や応接セットや、アルトサックスや鉄道模型だけでなく、ガムテープや掛布団も、扇風機や下着も、もつ鍋や正露丸も多めに売れる状態を、経済成長と呼ぶのです。

先進技術にこだわる人が多いけど

先端の成長産業や、成長分野の「成長」を、経済成長の「成長」に引っかけただけ。

漢字が同じだから。

エポックな発明で、独占販売や特許使用料で大金を得ることを、成長だと解釈するミスを犯しています。経済成長とくれば、イノベーション(革新)を言い出して。

本当はニューテクノロジーである必要もない?

昭和のイノベーションの「トランジスターラジオ」「インスタントラーメン」「ポケット電卓」「CD」の儲けが、GDPを上げたのは確かです。しかしそれだけでは少ない。

穴があいた靴下を新調したり、高級靴下に変えても、経済成長します。豆腐を遺伝子組み換えなしにグレードアップして、2倍の値段を払えば、それも経済成長です。

300円のTシャツでなく、3000円のプリントTシャツを買って、そのプリント図案が平凡であっても経済成長します。イノベーティブな図案でなくても。

日用品が売れても経済成長か?

タワシやホウキも含め、様々な商品が全般に多く売れた年を、経済成長と呼ぶのです。

付加価値の高さが、成長する条件ではない

年に1回足を運んだベートーベン曲のコンサートに、年4回足を運べば出費が増えます。これがあらゆる分野で起きた時、大きく経済成長しています。

消費される商品の個数が増えるのが、経済成長の基本です。

買った個数が多いのが成長の特徴です。

つまり音楽家が増えれば経済成長するわけか

音楽に限りませんが、アメリカがその考えです。プロの音楽家が増えるよう、お客が大勢集まるように、すそ野を広げてトップも押し上げる、人材育成も同時にやります。

アメリカ政府がどうやって音楽のすそ野を広げる?

遊ぶ金を皆の手ににぎらせます。国民全員にドルをばらまけば、生きる最低限以外に皆がお金を払える。音楽家はチャンスが増え、音楽にイノベーションが生まれます。

てことは、イノベーションが最後に来るわけ?

成長戦略とは、政府が通貨を増量することに始まります。

現実的な順序 = 政府がお金をばらまくと成長して、イノベーションが生まれる
起きない順序 = 画期的なイノベーションを起こせば、お金が生まれて成長する

増えたお金で国民が物を買うから、企業は新開発ラッシュが可能なのです。

買うお金がない国では、企業は商品をつくる気にもならずブラック化する。日本がこれ。

電気自動車を買うお金を国民が持たず、メーカーはつくる気になりません。

EV車を試す気になる国は何が違うのか

経済成長とは、成長分野が躍進して大儲けする意味ではなく。政府が国民に多めに通貨を渡して、大勢に多めに商品を買わせたGDP上昇を指します。
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