ユニクロ会長の意見記事が話題の、2019年の貧困状態
秋頃か、ユニクロの会長の「日本を浮上させる」が記事になりました。傾いた日本経済を回復させる提言です。
提言は「無駄が多いから日本経済は衰退した」「政府の出費を半分に減らせ」です。
これ、全く間違っています。
ずれているのではなく、逆さまにひっくり返っています。
政府の一年の出費はいくら
近年の政府支出は、年240兆円です。半分に減らすと120兆円のカットですね。
年金制度や国民健康保険も減らす。大学補助金や保育園への支援は打ち切り、小惑星探査機「はやぶさ3」は開発中止、iPS細胞も研究を打ち切り廃業です。原発も捨てる。世話をやめて撤退して、地方に払い下げる。
ウランやプルトニウムみたいに、ネットオークションに出して、高校生に売る。
それって国がつぶれない?
ユニクロ会長に良心は感じますが、日本解体のススメです。
提言は、言わずと知れた財源論です。国のお金は総量一定だと誤解しています。
経済と経済は意味が違う、日本語のあやふや定義
経営者が間違うのは、企業経済と国家経済の「経済」は別の意味だからです。
経済の語は江戸末期の日本製の造語で、古代中国の語「経世済民」(けいせいさいみん)を略したとされます。
二種類の経済はどう違う?
・ 経営者の経済 = お金がより多く儲かる会社経営のこと(ミクロ経済)
企業は選手ですが、国はレフェリーなので、儲けてはいけません。お金は出す一方。
トヨタとニッサンの一方を残し他方を滅ぼすのは、国の理想ではありません。全てを生かし、増やして伸ばしたいのが国の経済です。企業を整理すると国力は落ちます。
対して経営者は生存競争です。「自分は勝つ、他は滅べ」の自己中です。勝った勇者たる大物経営者は、国家経済と反りが合いません。だから独占禁止法もあるわけ。
国には貨幣プリンターがあるし!
企業は円を発行できますか。一般企業に通貨発行権はありませんね。
・ 企業 = 通貨を商売で獲得して使う(1万円使う費用は1万円)
企業はお金を使い切ると、破産しておしまいです。企業の当座預金が減り、決済できない事態が二度起きると倒産と判定され、銀行が取引停止します。
政府だけは絶対に、永遠に破産しないわけね
経営者たちはその知識がありません。「政府も企業だ」と経営者は勘違いします。
政府はお金の製造者です。お金の在庫を持たず、必要なら発行して使う手順です。
政府だけはコストアップし続けないと、国民が飢えます。理解できますか。
企業は労働者からお金を奪ってるし
勝ち組の日本企業の多くは、社員をワーキングプアに追いやっています。搾取です。
平成の国内企業は社員の給与をうんと減らし、持ち株会社に回して株価を上げ、他社を圧するビジネスモデルですよね。
従業員に渡すお金を1円でも下げる。結果は消費が落ち込み、日本経済は縮小の一途。
企業を真似て、政府がコスト削減したらどうなる?
今の日本みたいになっちゃいますよー。少子化急進と人口減で、領土も失って。
国力が衰え他国に滅ぼされます。だから各国は通貨の安定供給に熱心なのです。
日本経済を立て直すには、お金を発行して、年間予算を300兆にでも増やします。
120兆に減らすのではなくて。
経営者の日本経済立て直し論は、日本を壊す逆走ばかり
有名経営者の提言は、以下のように間違いだらけです。
その1
違います。日本が経済低迷している原因は消費税増税です。国内の買い物客が払えるお金が減ったので、企業の製品が売れなくなりました。製品の開発もストップし、技術が進歩せずに陳腐化する当然の成り行きです。
その2
違います。バブル後に銀行が回収した通貨減少に企業が反応して、給与や報酬のカットを続けました。薄給の悪条件で働く従業員が、うつ病などメンタルを壊し自殺も増え、前線離脱を余儀なくされました。生きるシカバネの国民が増えたのです。
その3
違います。正規を減らし非正規を増やすコストカットに走る経営者が、世界的に厚かった日本人の就業モラルや忠誠心を壊して消し去りました。非正規なら備品購入費で経費計上できるうまみと、首切りが簡単にできる企業のわがままで経済縮小しました。
その4
違います。アメリカや中国の大卒初任給は55万円、日本は22万円。若者は安く買い叩かれています。緊縮財政と消費税増税による内需縮小で所得減少の若者は、行動力が失せて当然です。そもそも物余りは飽食でなく、デフレ不況で売れない商品のだぶつきです。
その5
違います。企業が若者からの搾取を徹底し、若者は車や配偶者を持てない貧乏に落ちました。イノベーション以前に、若者は昼食を抜いたり売春に回る。教育界もコストカットで人員削減し、現場の教師がうつ病や自殺に追い込まれる始末です。
その6
違います。平成9年(1997年)をはさんだ昭和末期と平成末期で、こんなに違います。江戸時代から続く日本らしさを捨て始めて、国がてんぷくしたのです。
平成元年(1989年)の後、平成9年(1997年)の緊縮財政と消費税増税で通貨削減し、日本はみるみる経済縮小して、平成30年(2018年)には逆転のボロ負けです。