経済波及効果がよく起きるのは、スポーツ選手の勝利
「経済波及効果」という言葉をよく聞きます。略して「経済効果」とも。
テニスの大坂なおみ選手がグランドスラム(四大大会)で初優勝した時に、経済波及効果が表れました。
使用したテニスラケットの指名買いが増え、メーカーに問い合わせも集まりました。
よく聞く話で
2018ソチオリンピックでは、スピードスケートの小平奈緒選手で話題になったスポーツサングラスです。フレームの色が黄色とオレンジで左右違う、あのタイプが販売店で売り切れました。高くても売れました。
買わないはずの人も買うようになり、販売数のトータルは目立って増えます。ムードに刺激されて、違うメーカーのラケットやボールやサングラスも売れ出します。
東京五輪でもあるか?
200日後に迫る2020東京オリンピックでも、経済効果は必ずあります。スタジアム建設や種目別競技用品の購入など、直接的なもの以外の買い物が増えます。
サービス業者として食い込んだ、内輪のお友だち企業に限りません。近隣のかき氷店なども売り上げアップになりますから。
オリンピックがない年よりお金が大きく動き、GDPが上がる要因です。イベントの影響が直接、二次効果、三次と広がり、イベントが赤字でも周囲に収入が生まれます。
各種イベントが多いほど、好景気が期待できるが
イベントが定着した地では、チケット売り上げ以外に広く経済効果が期待できます。バスや電車が増えて、駅ビルの商店街も拡張され。普段のアベレージを押し上げます。
定例イベントは、むしろやめたら不景気になります。途絶える例が「オリンピック不況」と呼ばれる、建設特需の喪失ですね。
目立ったのが、東日本大震災で各地で自粛した花火大会でした。
尺玉やスターマインなど打ち上げ花火は夏の盆の前後の開催が多く、慰霊行事でやってもよかったのに、結局やめた地域が多かったのです。
賛否でもめたようで
悲しみの時に楽しむイベントは不謹慎だと苦情があり、主催者は匿名電話を無視できず。
実はここに、日本に困った国民性があります。経済活動に対して、常に風当たりがあるのです。お金を御不浄、不潔な悪行に受け取る感覚がひそみます。
一例は、商業イベントへの儲け批判です。
クリスマスのケーキや、バレンタインデーのチョコがよく糾弾されます。マシュマロデーとなれば、もう散々で。
ハロウィンもそうか
宗教的な由来とずれている批判はわかります。そこに、お菓子を売る商売はだめでしょという声が多いのです。ネットでも「ケーキやチョコレートを買うのをやめよう」と、経済活動を食い止める呼びかけ投稿がよくあります。
「買わないよう気をつけろ、絶対に儲けさせるな」「断固購入を阻止せよ」と。
儲ける人間を罪人とみなし、こらしめてやりたい気持ちが行動になっています。
他人の商売を失敗させて、赤字で敗退させたい願望です。
他人が収入を得る行動を、心底憎む激しい勢い。
売買ストップ、お金の動きを止めたい思い。
商売に好感を持っていない、国民感情も大きい
商売を悪とみる心理の裏に何があるのか。
ひとつは「お金は使えばなくなる」の思考でしょう。
一万円札を、使えば枯渇する資源とみているのです。
お金を使う場の商店をなくせば、皆はお金を使えず、お金の喪失が防げて守れる。
「商売人がいるから、使う馬鹿が現れ、世のお金が減る」という不安は解消する。
営業妨害する意図はないの?
他人の所得アップがうらやましいのも、少しはあるでしょう。
そこにはマクロの視点が抜けています。食品店が儲ければ、文具店の儲けが減る感覚で、お金をシーソーゲームや綱引きでイメージしているのです。
お金の全体量が固定した前提か?
動物のオリの中にあるエサと同じで、他人が得たら自分は減る恐怖感です。
誰かが儲かれば、その分は自分から逃げていくという、サイズが固定したパイを奪い合う考えが日本にしみついている疑いです。
他人の商売が失敗するよう祈るのが、日本人の特質みたいな。とにかく他人が儲かると、自分は失うというプレッシャーを受けるのです。
国民性で指摘される足の引っ張り合いは、「お金とは何か」の間違いが根底にありそう。
ゼロサムゲーム感覚ね
実際にケーキやチョコレートが売れると、回り回って事務系サラリーマンにも経済効果は巡ってくるのがマクロ経済です。
ネットで悪く言われるAKB48の握手券付き音楽CDさえ、嫌いでラジオを消す人にもCDの経済効果が及び、収入増になるのが実体経済です。
全体で考えることが大事か
経済成長は、マクロで考えます。
国内で大勢が自殺し、周辺国から領土を攻められる日本経済の衰退。それは一人の社長が儲けたかどうかの、ミクロ経済の次元とは違います。
経済波及効果は、社会全体で考えるわけね?
「自分の儲け」「僕は」「知り合いが」とは異次元の経済全体は、高度な思考です。