日本の経済悪化が続く理由:一人の症状にたとえると簡単な話

青い海

今の日本国の経済状態を、一人の人間にたとえたら

平成9年以降の日本を簡単に語れば、こんな感じです。

全身が冷え切った人がいて、その体をさらに冷やしている。

冬の海の遭難者ね

少し前まで体温は高く、体格はよかったのです。それが今はすっかり低体温症で、凍傷が出始めています。身体が動かず、横になり安静状態です。

しかし医者たちは部屋の暖房を入れずに、体をさらに冷やそうとします。

なぜ冷やすのか?

「暖房コストを、子孫にツケ回ししてはいけない」。

「温めたら、いつか大変なことになる」。

部屋がとにかく寒いわけね

それを見て、医療畑でない部外者がこう言います。

「何をやっている、すぐに体を温めるんだ」。

「このままだと、死んじゃうぞ」と。

それに誰も賛同しない?

周囲で見ていた素人はこう言います。

「温めたら大やけどして、大変なことになるぞ」。

「焼死体はもっとむごいぞ」。

「炭化して性別もわからなくなる」。

「ビルも焼け落ち、街も大火だ」

経済学的に解釈すれば、破綻するする詐欺の横行か

この状態を経済学的に説明します。

体が冷え切った状態とは、デフレ不況です。

物の値段が下がり、所得がそれ以上に下がり、だから実質賃金は低下しています。経済が縮小して衰退する途上にあり、国民に生活苦が続いて未来がみえない状態です。

生活苦で結婚が減り、独身割合が増えて、子どもが激減しています。少子化。

なぜ医者は暖房を入れない?

緊縮財政です。お金が増えるのを防ぐ。

室温の上昇がお金の発行に相当し、それを許すと借金が1100兆円を超え、将来返せなくなる恐怖がつのる。

そこで室内の熱を奪い、今以上に低温化する行動が消費税増税です。単なる放置ではなく室温をもっと下げて、中をブルブル震える寒さにわざと仕向ける。

なぜ誰も止めない?

一部始終をみた経済学の部外者は、逆だと言い出し、温めることが先決だと訴えました。でも誰も賛同しません。正解者に権威や肩書きがないから。

わからない分野は、地位をみて判断する。この一般社会の常識にはばまれました。

「上がやることが正しいはずだ」と。

「正しいから地位が上なのだし」と。

偉い人たちが、なぜか国民経済を悪化させてきた怪

以上のあらすじで、変だと思いませんか。すっごく変な部分があります。

素人が間違った考えを持つのはあるとしても。専門分野に詳しいはずの医者が、あべこべをやるのはなぜか。実は、これが経済学の特殊事情なのです。

医療なら全員一致で医者は正解を出します。「冷えて身体機能を損ねているから、温めれば回復に向かうよ」と。医術は基礎理論がこなれ、現場の経験則が補強しています。

ヤブ医者や、算術医や、脱税医師であっても、その程度は正解を出せます。

それに対して、経済の専門家だとそうはいかない歴史的な問題があります。

実は、主流の経済学は間違っているのです。

間違いがまかりとおる?

たとえば、私たちは世界が球形だと知っています。アースと呼ぶボール形。だから日本語では地球と命名しています。「たま」です。

しかし昔の人は、世界を平板のテーブル形と認知しました。つまり海の果てに滝があり、舟で遠出すると滝から落ちると。偉い人もそう恐れて。

この平面的な世界を信じる人は、実は今も多くいます。

その話は国際ニュースで知った

「世界がボール状なんて、絶対あり得ないでしょ」。

「世界が球形なら、裏にいる人は逆立ちしてしんどいはず」。

「ハエみたいに足に粘着がないと、人は真っ逆さまに落ちてしまう」。

「うどんが鼻から出てきそう」。

さすがに素人だけでしょ?

もし科学者も「世界は球形でなくテーブル形だ」と信じていれば、どうなるでしょうか。よりにもよって経済学がそれです。

「経済学者の予想は外れてばかりじゃん」とよく聞きますよね。

行方不明の女児を超能力者が探す番組みたいに、経済予測はエンタメ的なノリですよね。一人一人がポエムを語っている面があります。

本当に経済論者ってバラバラで

「どうなりますか」とたずねられると、「こうなって欲しい」と答えたりして。

増税すべきか減税すべきかが分かれる自体、何もわかっていない人がものすごく層が厚いことを裏づけます。

冷やすか温めるかの違いは、間違えば手足の切断や心肺停止です。

心肺停止が近い

経済学の具体的な迷信は?

虚偽の典型が「クラウディングアウト」です。政府が国債発行すると、その通貨の金利が上がる説です。

なぜ金利が上がるかは、お金を発行すれば減る解釈だからで、統計はそれと合いません。最近の顕著な例が、何と昭和以降の日本です。

日本は国債を出しすぎて危ないと、50年も言われ続けました。ならば長期金利が上がりきるはずが、逆に下がりきってゼロ金利、さらにマイナス金利です。理論とまるで反対の現象が長年続いています。現実はあべこべ。

公債発行で金利が上がる説がウソとわかるグラフ

経済学からの反論は?

「理論が正しく、現実が間違っている」。

「間違った現実は受け入れないし、却下する」。

市場より机上を信じるって、それ何?。理論だけが、年がら年中、空振りして。

クラウディングアウトは「世界はテーブル形」のひとつ。

何が根本原因?

財源論です。お金の総量が一定で、故意には増やせない思想信条です。

「世界が丸けりゃ、裏の人は落ちるだろ」式の、感情が引っ張る妄想です。

テーブル形も信じ込めば、その証拠ばかりが目につくものです。自分が見たいものだけが見えるよう、人の脳は自動的に検閲します。

マネー・クリエイションへの反発や、打ち出の小づちへの許せない人情も混線して。

お金の本当の正体は何?

正解発表は次号に延ばしはしません。お金の正体は原型である小切手が明快で、借用証書です。すぐに説明しましょう。

外部→ イングランド銀行のマネー・クリエイション説明(PDF)

1997以降の日本の失敗は、凍傷の患者の体を温めずに冷やし続けたこと。温めると大やけどするとの強い警戒心が、経済学の共通認識だったから。
Photo: Sergei Akulich from Burst