インフレは四種類のパターンがある:主流派経済学では一種類だけ

インフレは一種類でなく、四種類のパターンがある

インフレは本来「物価上昇」ではなく「経済膨張」です。

「インフレーション宇宙」(膨張宇宙論)と似て、ふくらむ意味。

単に「インフレ」と呼ぶと、皆の暮らしが上がるか落ちるか、好景気か不景気か、国にプラスかマイナスか、経済成長か経済衰退かはわからない。
報道だと何が何だかわからん

物価上昇率より、賃金上昇率が高い場合のみ、良いインフレです。

良性 = 昭和の後半のインフレは、賃金が上昇して、実質賃金アップで富裕化
悪性 = コロナ以降のインフレは、賃金が横ばいで、実質賃金ダウンで貧困化
四パターンは対策も違う?

たとえるなら、体温が上昇しても、一律に水あびで冷やしては危ない。運動した発熱か、病気に感染した発熱かを区別し、病気なら冷やさず温めないとだめ。180度反対。

「インフレか、なら金利を上げろ、国債を減らせ、増税しろ」は間違いです。それら景気冷却をやるべき「過度な良性インフレ」は、戦後日本に一度もない。

産業革命以前の、インフレを一種類とみる感覚で、病気の日本を冷却中。

四パターンあるインフレを、簡単に分類すると

良性が一種類、悪性が三種類。

パターン1:良性デマンドプル型インフレ(需要けん引)

政府が貨幣発行したり、社長が銀行融資を受け、通貨増量で起きる商品値上げです。

国民が賃上げ、手取り増となれば、買い物が増えて、品不足に向かう。

メーカーとショップは商品を強気価格に上げ、増産の時間をかせぐ。

実例は?

所得倍増計画の昭和、1960年代の高度成長もそう。

製造と流通の合理化、オートメーションやロボット化が下支えして。

後進国に多い、移民投入の人海戦術を避け、世界二位の経済大国に。

パターン2:悪性コストプッシュ型インフレ(経費押し上げ)

主に輸入資源の高騰が原因。原油や木材や小麦や、食肉や飼料や肥料など。

購入原価、運搬費、船舶保険、メジャーの買い占めもあり。

輸出国で起きた事故や不作や、暴動や戦争など、起点も多彩。

実例は?

折々のコーヒー豆の値上がり。しかし目立つのは原油です。

1970年頃の産油国団結で原油高騰、1973年の第四次中東戦争によるオイルショック、2022年のロシアウクライナ戦争で原油と小麦が高騰、2026年のイラン攻撃で原油停止。

値上がり分は中東国や、ロシアやアメリカが得て、輸入する日本は貧困に。

実は増税値上げも、コストプッシュ型です。

パターン3:悪性サプライロス型インフレ(供給喪失)

国内工場が倒れたり、生産計画倒れなどで、商品が供給不足になった値上げです。

一次大戦に敗れたドイツのハイパーインフレが典型で、生産拠点を占領され商品が消えて物価高騰。マルク暴落で、政府は500億マルク切手を発行。

生活必需品の買い占めと売り渋りで、さらに値上げ。

ただ、生産が回復すれば収まります。

日本だと?

2023年からの米不足と高騰は、サプライロスです。50年間の減反政策が原因。

生産削減政策で起きたのに、農業協同組合に罪を着せるデマが出回りました。

パターン4:悪性スケールロス型インフレ(量産喪失)

不況で国民が窮乏化し、物が売れないと物余りになります。生産量を減らせば、量産効果(スケールメリット)が出ず、元を取るには単価を上げるはめに。

価格破壊、賃下げ、貧乏のどん底で、いきなり物価が上がり、踏んだり蹴ったり。

実例は?

消費税8パーの増税で、980円の小型ヤカンは、105分の108倍に上がる計算で1008円になるはず、しかし税抜き1000円と付け、売価は1080円にはね上がった。

これは「好景気の強気価格」「原材料の高騰」「生産力の喪失」のどれとも違う。

不況が激しすぎると、売れないせいで物価が上がる現象です。

物余りは飽食の時代だと聞くが

「飽食の時代の若者は物に囲まれ、満足し物欲が消えた」が、2000年代の報道でした。間違った分析です。

若者の無欲は、イソップのぶどうです。貧乏で手が届かず、欲しがるのをやめた。

やめた一例が、自動車運転免許の取得です。そんな金ないから。

インフレと呼ぶ物価上昇に、どう対策すべきか

四つは対策も違います。

対策1:良性デマンドプル型インフレ

好景気だから、放置するだけ。

1987年の昭和末のバブルは、ピークの1991年にインフレ率が3.15パーセント。理想のデマンドプル型2~4パー内に届き、全員の暮らしが向上しました。

不動産バブルを軟着陸させて済んだ話です。協調的で道徳的な日本人ならできたはずが、銀行融資の貸しはがしで逆走し、ブラック日本に変えた痛恨のミス。

国民は、バブルで一万円札を使いすぎたから、平成は金欠になったと思い込んでいて。

そうではなく「責任ある積極財政」(=緊縮財政)と、増税で金欠なのです。

対策2:悪性コストプッシュ型インフレ

資源輸入が高騰した狂乱物価には、政府が国債発行で補助金を出し、価格に注文をつける以外に手がない。

日本が原油の9割をペルシャ湾で買いホルムズ海峡を通るのは、失われた10年が37年目の原因と同じです。税金は財源と偽る緊縮財政ゆえ、安さに飛びつく。

増税が出世の人事評価なので、国債発行を停止し金欠にあえぐ、くさい芝居です。無料で刷り足す自国通貨を「国の借金」と偽り、安全保障を放棄したツケ。

対策3:悪性サプライロス型インフレ

責任なき積極財政が正解。

国の宝は、国産品の生産力です。

商品の種類と量が多く、高性能なほど、通貨発行する上限が上がる。

政府は国債発行して民間に増産させ、すると国債発行を増やせるサイクルです。

米不足はどうする?

日本以外は、穀物をあり余るほど作らせ、政府が公費で補助します。

世界は食料の「市場原理主義」を捨て、小麦やトウモロコシ農家に国債で補助金を出し、公務員待遇です。日本だけが市場原理に恋し、自ら食料難に転落中。

対策4:悪性スケールロス型インフレ

売れ行き不振の解決は簡単。

庶民にお金を持たせるだけ。

それで昭和は強かった?

日本が一億総中流で、格差社会のアメリカに次ぐ経済力になれたのは、中間層のサイフが厚いと国内で数が売れ、イノベーションが多発する伝統です。

減税と給付金で、物が売れる社会に戻せば解決。機械のボタンを押す簡単さ。

簡単だから妨害がすごいんだ

新自由主義とグローバリズムの目標は、原住民の貧困化です。

増税で国民を金欠にすれば、行動力も教養も下げて無力化できます。

庶民は選挙に無関心になり、資本家に好都合な法律を議員に指示できる。賃下げ。

ハイパーインフレは四つのどれ?

物価が130倍以上になるハイパーインフレは、実は「悪性サプライロス型」です。

この知識が人類になく、グローバリズムの結末は毎度、戦争なのです。

お金を発行するとインフレが止まらなくなると大勢が恐怖し、マネー削減で国土整備が何も進まない。日本人に必要なのは、移民でなく知識です。
Photo: UnsplashKir Shu