経済学の教科書が間違っていて、日本も世界も混乱
経済学の専門家は、間違った教科書を頭に入れて、間違った授業を受けています。
主席で卒業したエリートほど、誤解が行き届いているのです。
たとえばどういう間違い?
前に触れたのが「クラウディングアウト」という架空の現象です。
「国債を発行すれば金利が上がる、だから発行するな」という間違った法則です。
本当に金利は上がるの?
実際には、長期金利は下がっています。あべこべ。
なぜ嘘がまかり通る?
「国民の銀行預金を、政府が強奪して国債発行する」との間違い解釈です。
「国債発行するほど、国民のお金がそっちに回されて減り、お金がレア化する。となればお金に希少価値が出て、貸し借りする利息が上がる」という妄想です。
実際には、銀行預金が消えた人は世界中にいませんよね。
預金は絶対に消えない?
たまに銀行預金が消えれば、職員の横領事件です。近年はネット銀行のハッキングです。IDとパスワードを犯罪者に読まれていて。
クラウディングアウトは、ボンクラ政府が国民のお金をだまし取り、無駄づかいに回すという「政府コソドロ説」を主張しています。
政府はコソドロしてない?
国債を発行して生んだ円は、政府の借入金でなく自己資金です。
お金を移さずに、新しく追加発行しています。
国語力の低下です。
政府はお金を僕らの銀行預金から奪っていると邪推し、妄想が始まります。
銀行が政府に出資してるけど?
出資していません。出資に見えるだけです。国債発行して円を発行すると、世にある円の合計が増えます。しかし政府を憎む心情が強いので、曲解が起きます。
「増えるなんて夢物語は考えられず、認めません」。
「増えたかに見せかけて、国民のお金を使い込んでるだろ」。
こうした政府を叩く本は売れます。
イデオロギーの混入か?
現代の先進国は、政府がお金を自在に増減する管理通貨制度をとります。
なのに「お金が増やせるなんてだめ、認めないよ」「その制度は大嫌いだから、引っかき回してやる」と、思想信条を叫ばれても困りますね。
「政府コソドロ説」の根拠が、財源論です。刑務所の経費が税金だとする苦情と同根で、総量が固定したお金を奪われ、残り少なくなる被害妄想と関係妄想です。
国債が増えると、国債価格が暴落する妄想も根強い
経済学のエリートが信じる、国債発行の都市伝説のもうひとつがこれ。
「国債を発行すると、国債の価格が暴落する」。金利でなく、今度は価格です。
なぜ暴落する?
国債が増えると、増えた恐怖心で購入済みユーザーが動揺するからだそう。
自分が買った国債を売り抜けないと、みんなが投げ売りし暴落した後の国債を持ち続け、ババ抜きのババとなる危険がある。その警鐘です。
全員があわてて国債の転売に駆け込む。すると国債の価格は地に落ちて、金利はめちゃくちゃになって世界は終末へ向かう。円は紙くずとなり、日本はおしまいという説です。
勝手に言ってなさいって感じ。
狼が来たー
「購入済みのユーザーが動揺する」という部分が、「動揺しろ」「暴れろ」「破綻しろ」の願望です。制度がぶっ壊れて地に落ちろと、自分の夢の投影です。
要するに、政府の存在が嫌いなのです。政府など、なくなっちゃえと。
日本の国債は安全?
円の国債は満期まで持てば、購入額が戻ります。利子もついて。購入額が返ってくるとも知らずに、騒ぐ人がとても多い。
買う側の市中銀行は、持っていれば儲かると知っていて、着々と買います。
外国政府も買います。外国政府が円を持つ時、日本に保管します。でもメガバンクの当座預金に入れると、1千万円以上は保証されません。
ペイオフ制度ね
ところが国債なら10万倍の1兆円でも、全額保証で利子もつくから当座預金よりも儲けになります。だから、他国政府は日本円の備蓄を国債で行います。絶対消えないから。
誰かがパニクッて国債を売りに出せば、他が買い取るだけ。売った人は負け。
国債発行残高は、GDPの2倍までが安全という作り話
日本のGDPは540兆円だから、日本の借金こと政府負債がGDPの2倍の1080兆円で満杯となり、超えると日本崩壊となる・・・これも主流派経済学の虚構のひとつです。
GDPの100倍でも関係ありません。そこに倍率は意味不明です。
倍率の迷信は何が根拠?
昔出た『This Time Is Different』という経済本が根拠です。イエロージャーナルと認定されるまで、GDPの9割で破綻が始まるデマが信じられました。
いずれも財源論が出発点です。政府が使うお金は誰かから奪い、いつか持ち主から報復の制裁を受け、天罰が下る恐怖デマです。
なんで経済はデマだらけ?
経済学に真っ赤な嘘が、やたら多いのは理由があります。
・ お金を扱う学問なので、参加者に金儲けにいそしむプレイヤーが多い
・ 文系の学問なので、数字が苦手であったり、逆に得意ぶる反動が多い
・ 危機をあおる本ほど売れるので、フェイク本が書店の華となっている
・ 必ず儲かる投資を唄う金融セミナーが、円やドルの危機デマを広める
他に、抽象思考の壁もあるでしょう。
抽象思考には、パラメーターが動的に変化する事象を理解する能力もあります。
それの何か具体例は?
たとえば自動車のディファレンシャルギアです。カーブして進む時の内輪差を吸収する、差動機というメカです。仲介する親歯車が静止せず高速回転しながら、子ギアをも高速回転させるから、動作する光景を脳内に結べない人が続出します。
起点のベース自体が動いて変化する、複合パラメーター動作なのです。
地球の公転と自転の相乗効果もそうです。太陽を中心にして地球が公転しながら、地軸を中心に自転する。このダブル動作の全体像は理解の壁です。
月の不思議によく出てくる
「月は月に1回自転する」が理解できない人もそうです。
月は地球に常に同じ面を向けていますが、満月から満月までに1回だけ自転します。それを「月は自身はスピンせず静止している」と誤解しやすい。
「地球から見ると月は同じ顔を向けているから、自らは回らずじっとしている証拠だ」と激しく誤解し、ネット掲示板で大暴れした人の記録があります。
何人もが説得にあたりましたが、最後まで「月は自転しない」と誤解し続けました。
文系脳の壁?
経済学は数字を扱うけれど文科系で、この教育ジャンル問題もあるでしょう。
昔から言われてきた文系脳(文科系や文化系とは無関係)は、一般にはフィールドに学ばない傾向があります。「僕の思い」で世の中を斬って回る強引な解釈が多いという。
理系脳ならどう考えるの?
国債発行は打ち出の小づちであり、貨幣は作りっ放しです。後で誰かに返済したり、誰かの首を差し出しません。犠牲やペナルティーを負いません。
日本政府が発行する円は、借入金ではなく自己資金です。
それで結論なはずだが
ところが財源論だと、国債発行は国民の資産をパクる解釈です。総量一定とするから。
国債を不正や合法的犯罪として、ドロボーは政府役人だとの曲解に走る。
実際の国債発行に、GDPの何倍などポピュラーな数字はありません。オーバーがだめなら1倍までで、2倍あたりとは恣意的で、現状の金額規模に合わせた作り話です。
国債発行できる限界はあるの?
どんなものでも、飽和したり逆進に転じるリミットはあるに決まっています。
国債を多く発行してばらまけば、世にお金が増えて国民は裕福で好景気で、貧困や餓死や自殺や強盗殺人が減ります。
しかしお金がだぶつきすぎると、物価が上がりすぎて、お金の効力が下がりすぎます。
これが過剰インフレです(良性のデマンドプル型インフレに限る話)。
学生がスーパーカーを数台持ち、小学生もクラスの半分が別荘を持ち、天体望遠鏡の注文待ちが何十万個にも増える頃に、市場から商品が消えます。
白菜もビスケットも下着も正露丸も売り切れ。
するとお金の価値が目立って下落します。
どう防ぐ?
商品を増産します。
スーパーカーや望遠鏡や下着を、国内で急造します。
間に合わなければ?
増税します。
国民のサイフの余剰金を政府が回収して、買い物を妨害します。
税金は財源ではないのです。
景気予想を数式計算できないのはなぜ?
マクロ経済は人の行動心理の合成、群集心理だからです。経済は気持ちで動きます。
嘘のうわさや誤報で、株価がいちいち上下するのと同じ。
その証拠に「今後景気は悪くなる」と発表すると、言葉に従って人々が買い控えし景気が悪くなるものです。マートンの『自己実現的予言』の例です。