ハイパーインフレって何:バブル時代の日本はどんな好景気?

ハイパーインフレ

通貨発行権を知らなかった、国民の虚しい28年間の貧困

日本経済が28年間ダウンし続けている、原因は簡単な構造です。

国民があることを知らないから。それは。

「お金の発行は、その国の政府が行う」。

通貨発行権です。

全然知らないとどうなる?

少しも知らないと、次の勘違いが続出します。

・ 何かの出費が増えれば、別の何かを減らさなきゃ
・ どこも減らせないなら、増税以外に考えられない

ついに、こういう国民感情に必ずなります。

・ 少子高齢化時代に、高齢者や障がい者など税金ドロボーは消えろ、安楽死させろ
・ 経済の動きを止めて、誰もお金を使わなければ、お金の目減りは食い止められる

限られたお金の奪い合いです。

国の財源というありもしない妄想の産物で、他人が消えれば国の出費が浮いて、その分は自分に回るお金となる式の、間違った結論です。

共食いで牙をむく虚勢が、自己責任という言葉ですね。

国民が通貨発行権を知れば、次に起きるのは何か

政府が貨幣を発行できると、国民が知るとします。何者かがあわてて次のように攻撃してくるのがお決まりのパターンです。

政府がお金を出せば、ハイパーインフレで円は紙くずになる
気分はハイパー?

ハイパーインフレの語をポーンと言えば、かっこよさそうにみえます。

「オフィスソフトのハイパーリンクって、めっちゃハイパーだし」。

「音楽はロックンロールだぜ、イェーイ」みたいに。この一言を発してみせて、しゃれた横文字を使う自分をみんなにほめて欲しい気持ち。自分カッケー。

「ハイになって、パーッと行っちゃえ!」。

「ハイパー!」。

ハイパーインフレって何?

インフレーションは、継続的に物価が上がることです。

ハイパーインフレーションの定義は、毎月50パーセント物価が上がる事態です。

100円のカップラーメンは翌月150円に上がります。その翌月は225円です。もう2倍を超えました。

12カ月で1.5の12乗となり、12974パーセントになります。年に物価が13000パーセントに上がるインフレが、ハイパーインフレです。1年後に130倍の価格です。

100円のカップラーメンは、1年間に約12900円上がって、13000円になります。

タッケー

日本で最高級のインフレは、2発の原爆投下でやっと終わった敗戦時でした。

年400パーセントもの超インフレでした。戦後のどさくさで、100円のカップラーメンが1年後に300円上がり、400円にもなる計算でした。

でもその程度?

300万人が亡くなり、物不足の金余りに陥った敗戦時でさえ、物価130倍のハイパーインフレにははるか遠い、物価4倍でした。

国民は製造を再開し、インフレを止めました。物価は下がり正常化しました。

25人に1人が戦死した敗戦の焼け野原でも、その程度で起きる確率は小さい。

バブル時代の好景気は、ハイパーインフレだったのか

30年前の1990年頃は好景気でした。

今や伝説になったインフレ好況でした。お金がざくざくある時代で、日本人がおおらかにゆったり、優しい心を持てた時代です。

佐川急便のドライバーがフェラーリ車を買った話や、高層ビルの鉄骨を組むトビ職人が、ヘリコプターで建設現場を行き来した話。また、国民のほとんどがゴルフ、スキー、テニスのどれかに加わり、グリーン、ゲレンデ、コートに何度も足を運んだ時代でした。

ハッピーすぎる

コマーシャルで、後の時代なら許されないトンデモ表現が競い合った時代で。企業たちが社会貢献を本気で考えて、口先だけでなく本当に手を染めた時代でした。

マイナースポーツへの協賛や、地域オーケストラへの出資も。企業出資でパイプオルガンが日本中のあちこちに作られ、イベントが開かれました。企業メセナという語で。

不景気の平成生まれには目の毒で見たくないのが、バブル時代です。こっけいを探して、笑って馬鹿にしてやりたい。そんなねたましくも、うらやましいバブル時代でした。

バブル時代はハイパーインフレだったの?

バブル時代のインフレ率の最高は、1991年の3.15パーセントでした。

2から4パーセントの適正インフレの範囲にとどまり、中ほどの平凡な数字です。

100円のカップラーメンは、1年後に103円強でした。むしろ理想の時代でした。

あのバブルはジャスト適正インフレだったとは

金余り現象で夜通し歌って踊っての、ダンシング時代でさえそんな数字です。

円の暴落などは全く起きず、逆に円高、ドル安だったのです。それで外国の高級ブランドが日本で安く買えました。

何しろ1989年に物品税を廃止したから、一般市民が上級国民や中級になったのです。金の延べ板やダイアモンドやアート絵画、ガラス工芸などが買われ始めました。

底辺層を馬鹿にして胸を張ってみせる平成の空気は、バブル時代にはありません。

パワハラやモンスターやブラックやオレオレがなかったのが、バブル時代でした。

ならば今のインフレ恐怖症はなぜ?

国民は「ハイパーインフレ説」のデマに、きれいに引っかかったのです。

引っかけた犯人は、デマで儲かる側です。

まともな経済専門家は「日本は円を増やすと価値が暴落」なんて言いませんから。

核の全面戦争か隕石か地球寒冷化以外で、日本にハイパーインフレは起きません。そして日本以外の途上国が、先にハイパーインフレになっています。

素人ニワカの収入ネタか?

このダマシの手法が「恐怖プロパガンダ」です。

「放牧牛のゲップで二酸化炭素が増えて地球は滅ぶ」「だから野菜だけ食べよう」式の、センセーショナルな手法です。

プロの嘘つきが、綿密な計画を立てて皆を巧みにだますのです。

記事→ ハイパーインフレの説明はこちらにも(牛丼は何円になるか)

日本人が奇異にハイパーインフレを恐れる理由に、長いデフレで過剰適応した心因性の症候群が考えられます。世界で日本だけの特殊な心理現象です。
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