消費税の外税と内税の違いを、音楽CDソフトで考える
1989年に日本で消費税を導入した時、税率は3パーセントでした。
この時点で、日本人全員が税金の意味を誤解していました。
「直間比率の見直し」のコンセプトで、デフレ不況の一歩を踏んだあの時、日本人は国税の本当の機能を知らず、平成の経済を下げて衰退させました。
国際陰謀説以前の問題だった?
消費税導入の時、いくつもの不合理でもめました。ビックリマン・チョコとか。その中に外税か内税かの問題がありました。そとぜい対うちぜい。
・ 外税は税別の価格表示。1000円と表示して、お客は1030円払う
・ 内税は税込の価格表示。1030円と表示して、お客は1030円払う
課税前後の変化がわかりやすい例が、音楽CDでした。
ミュージックが関係する?
音楽CD盤が製品化された1982年以降、CD1枚は4300円から3800円に下がり、3500円を経て3200円が多くなりました。バブル前の新譜は、定価3200円が多かったのです。
ちなみに当時は再販価格と呼び、委託販売方式です。期間内にショップで売れ残ると発売元に返せばよい代わりに、定価と呼ぶ全国一律価格で売る取り引きです。
書店に置いた本も基本的にそれで、書店の所有でなく出版社の所有です。
やがて、オープン価格の概念が広まりましたが。そりゃよいとして。
3200円のCDはいくらになった?
物品税廃止で、280円が引かれます。商品価格は2920円になります。そこに消費税3パーセントで87.6円となり、端数は四捨五入。88円を足して、3008円となったのです。
全てのCDがその額?
新譜でない旧譜は、以前から価格が低めでした。1950年代のモダンジャズや、70年代のブリティッシュロック、またクラシックレーベルのデッカなど名演奏シリーズは、すでにレコード時代に製造コストの元がとれていたからです。
それらはいわゆる「AADタイプ」で、デジタルリマスターをやらずに、アナログテープから16ビットでデジタル変換したCD化でした。
それらのCDは1989年の時点で2500円など廉価でした。物品税220円を引いた2280円に消費税3パーセントが68.4円。68円を足して、2348円が新価格でした。
また2000円など廉価を強調していた盤もあり、物品税180円を引いた1820円に、消費税は54.6円。55円を足して、1875円が新価格でした。
こうして消費税導入直後の音楽CDは、1円単位の端数価格を印刷していました。
納税の痛みを軽減するために、内税方式が推奨された
3008円の音楽CDは、やがて3000円に変わりました。値下げです。また2348円の盤は2400円や2500円などで、シリーズ再編と帯の再デザインで出し直しされました。こちらはバブル時代の良性インフレによる値上げです。
1円玉を必要とする細かい端数をなくしていきました。
内税に変え始めた?
税込み価格がきれいな数字になるようにです。音楽CDはその後も本体価格と消費税を明記した上で、合計金額も表示して、3つの数字を商品にプリントしていました。
ところが1997年4月の消費税5パーセントへアップ後に、政府は販売価格だけを表示する内税方式を推奨しました。税込みの支払金額を示す方式です。
内税表示の利点は何?
内税に変える最大の目的は、税の痛みの軽減でした。
税金をいくら払っているかを隠して、支払う人の気持ちの抵抗をなくし、とられる痛みを感じさせなくするアイデアでした。
税の負担金額が目に入ると、買う気がなくなることへの配慮です。景気が悪くなるから、それは避けたいのだと。
これ、頭がおかしい発想ですよ。
内税方式を推奨するのは、ナンセンスなお笑いギャグ
「納税の痛みを軽減するために、外税をやめて内税方式にする」。
税金の役目を知る者なら、絶対に考えつかないマヌケです。
そこを詳しく?
税金は財源ではなく、インフレ抑止のために廃棄するお金です。
あり余るお金で国民が物を買いすぎて品切れが続出し、物価が上がって通貨価値が落ちるインフレが行きすぎないよう、通貨削減が徴税の目的です。
国税は、爆買いで物不足になり、店の棚が空っぽになるのを防ぐ仕込みです。
消費税は露骨で、お客に購入現場で即時懲罰を与えます。ペナルティーをちらつかせて、売れ行きを落とす目的です。副作用ではなくて。消費を妨げ、商品の在庫を守る。
出費増の痛みこそが税の目的だった?
消費者の痛みを軽くして、どうするの?。
消費の下落を防ぎながら、消費税アップって、どういうこと?。
気は確かか?。
もし枯渇しないほど商品が豊富にあればどうなる?
商品が枯渇しない国でも、国税は別の理由で必要です。しかし消費税はいらない。
商品が量産できて品切れにならないなら、過度なインフレが起きないので、消費税ゼロで市場にまかせ、スムーズにたくさん売り続けて済む話です。
財界も大喜び。よく売れる社会を保てば、サンヨーやシャープも傾かなかったわけで。
消費税増税はペナルティー強化か
「諸君、お金を使うのを、一段と休み休みにしないかね」。
「何でも買いまくる派手な消費を、もっと減らしたまえ」。
「あんちゃん、そんなに買うたら売るもんがのうなるやんけ」。
5パーセントで売れやすい配慮を考えるなら、配慮せず3パーセントでも同じ効果です。
笑い話ってこと?
魔よけの鬼を、優しい顔に作る発想です。恐い顔だから役立つんだろと。
虫よけスプレーから虫が嫌う成分を抜いて「虫に優しい新製品です」って感じ。
タンクローリー車に貼る「危」の字でドキッとする不安をなくそうと、小さく目立たないデザインに作り直し、カバーで隠して見えなくするみたいな。
昔から日本では徹底して税金を誤解し、なるほど貧困化するはずです。
日本人は何を知ればいい?
通貨発行権の存在です。
政府はお金を出し放題です。これを知らないと、お金不足に泣いて無意味に増税したり、総量が一定のお金の奪い合いで犯罪が多発します。ブラックな人権侵害が横行する。
国庫の枯渇を防ごうとして、人を間引いて口減らしするはめになります。誰に早く死んでもらうかで戦う。財源論を信じると、高齢者や障がい者への敵視が始まります。
日本人は殺し合いを強めるはず。現に無差別テロが増えました。