日本はバブル時代の後に、軟着陸ができなかった
女子高生がラジオ番組で言った、あの言葉をもう一度。
「みんながお金を使えば、ぐるぐる回って景気がよくなるのに・・・」。
そのとおりバブルが終わりかけた1995年にみんながお金を使っていたら、高景気を維持できたのでしょうか。バブル時代の温かい幸福を保てたのでしょうか。
無理やりお金を使えば、どうなるか
実は無理でした。理由は二つあります。
ひとつは、使えるお金が先に減っていたからです。物理的に無理。
もうひとつは、人間は思考と感情を持つからです。心理的に無理。
国民はなぜバブル後、一転してお金を使わなくなったの
企業が賃金を減らしたからです。これが先だったのです。
賃金が減った社員やバイト君は、消費者へ回ると節約し、物をあまり買いません。先立つものは決定的です。すると売る側も儲からず、さらなる賃下げに進みます。
能力主義や成果主義でじたばたしても、経済は落ち続けました。
企業はなぜ賃金を減らしたの?
不動産バブルがはじけたからです。銀行が資金回収を始めたのです。
80年代バブルは、全国の土地を地上げし、実際の価値よりも高い土地価格につり上げ、転売で儲ける不動産過熱でした。でも実体経済はまた別です。
建物敷地と建物本体は踊り狂って高騰しても、暮らしの実体経済は良好でした。
実体経済までが値下がりに転じた?
銀行は融資の抵当とした土地を急いで処分しようと、融資金を顧客の社長たちから回収したのです。いわゆる貸しはがしです。政府からの命令でした。
融資を返せば、国民が所持するマネーストックが減り、通貨削減です。物を買わなくなるから企業業績は落ち、社長さんたちは社員の賃金を下げました。
国ぐるみの貧困化がスタート。
賃金が下がる中、消費は続けられなかった?
賃金が下がりながらも、出費を維持した人はいました。その人は毎月余剰の、銀行預金の増え方が減るわけです。貯蓄ペースの鈍化です。
ところが日本は福祉が中途半端だから、将来を悲観した国民が増えました。老後の蓄えが不安になり、商品の買い控えに向かいました。消費の鈍化です。
それでリサイクルショップや、アウトレット系が激増しました。
日本の福祉は上級国民優先だし
全国民に生涯高い年金を出す北欧国とは、人権意識が違う日本です。年金が多くもらえる人と少ない人に、階級を分けるのが日本です。
将来不安が、日本人を小さい気持ちにさせます。
買い控えが真っ先に表れたのが、エアロビクススタジオやパフォーマンス広場などレクリエーション系で、書籍や音楽ソフトもガタ落ちになりました。
とにかくお金の総量が先に減ったわけね?
商品が価格破壊し、お金の貴重度が上がるデフレ現象に向かいました。
民間の力でデフレは解決不能です。不景気が28年も続けばわかるはず。
今やっている努力は逆走です。
権威ある経済学は頼りにならない?
今世界を動かしている主流派経済学は、新自由主義経済です。
新自由主義にデフレの概念はなく、インフレ金満が前提の経済学です。しかもインフレの良性と悪性も分けず、ごっちゃ。
やけども凍傷も氷で冷やすラフな学問です。それを日本は選択したままです。
テレビの経済番組も占いみたいだし
新自由主義経済は鼻が高く「市場原理で完結するさ」と宗教的です。
デフレを通貨発行で解決できる政府を否定し、故意にお金を減らす原理主義だから。
お金を発行してばらまけば景気回復する、知識はあるの?
国債発行を食い止めたい宗教家の私情が混線しています。
ネットにも「お金を使わない買い物客が一番悪い、そいつらが日本経済を壊した」と虚の主張がひんぱんに書かれます。
所得減で物が買えない庶民を叩くのは、新自由主義は階級闘争を兼ねるからです。
企業の社長は融資をなぜ受けない?
デフレ不況だからです。デフレに対応不能なのが新自由主義です。
日本の間違いを正せるのは外国人?
長い年月逆走して、唯一デフレ国を長く続けている日本は、外国人から理解されません。似た境遇の国がないからです。強いていえばドイツかも知れません。