横断歩道を渡る自転車がいたら車は必ず止まるべき?もやもやする疑問

自転車と横断歩道

自転車に乗るか降りるかで、身分が変わるという議論

信号のない横断歩道を歩行者が渡ろうとすれば、車は止まらないといけません。

渡ろうとするのが自転車でも、やっぱり車は止まる義務があります。

この法律をめぐり、人が自転車にまたがると軽車両になるから、車は止まらず無視できる俗説が出回っています。間違って理論武装したドライバーが多いカオスです。

派出所に聞いた人もいるらしいが

警察官が俗説を答え、YouTube人気動画で風説が流布したケースが複数あります。

その解釈だと車の対応はこう。

・ 自転車から降りて押して歩く者は歩行者になるから、車は止まらないと違反
・ 自転車に乗ってまたがると軽車両と呼ぶ車両なので、車は止まらなくてよい
次の瞬間に自転車からヒョイと降りたら、車は違反だよね?

そうでしょ?。

自転車から降りたのが先か、車が停止限界位置を通過したのが先か。もめますよね。

だから「自転車にまたがる者だけは、車は無視してよい」は、無茶だとわかります。

道交法をよく読めば、やはり自転車は全てが保護の対象

以下は道路交通法 第38条第1項(横断歩道等における歩行者等の優先)。

車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

以下は警察庁サイトの「運転者のルール」。

横断歩道や自転車横断帯に近づいたときは、横断する人や自転車がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければなりません。また、歩行者や自転車が横断しているときや横断しようとしているときは、横断歩道や自転車横断帯の手前(停止線があるときは、その手前)で一時停止をして歩行者や自転車に道を譲らなければなりません。

横断歩道と自転車横断帯が並んでる前提ね

上記の文書を心得ても情報弱者です。「自転車横断帯」が廃止されたからです。

「横断歩道」と「自転車横断帯」を並べる整備計画は、中止されました。

「横断歩道」に一本化され、「自転車横断帯」を兼ねます。

「自転車横断帯」は新設せず、白線の風化を待つ状態。

みんなの話は古いのです。

今の横断歩道は、自転車横断帯でもあるわけか

「自転車のイスに座る者の横断だけは車は妨害してよし、降りていれば妨害はだめ」は、作り話でした。

嘘の風説がきっかけで死傷した被害者もいそうで、罪つくりな動画が出回っています。

昔の38条は、自転車横断帯で自転車を押す前提だったの?

「横断歩道」と「自転車横断帯」を作り分けた初期は当然、自転車に乗りペダルをこいで素早く渡る前提でした。降りて二足歩行が前提なら、作り分ける必要が最初からない。

作り分けた意図は、歩く人と自転車をこぐ人を別コースで通そうとしたわけ。

「歩行者等」は「歩行者+自転車を押す歩行者」ではなく「歩行者+自転車」と定義していますね。ならば、自転車に乗ろうが降りようが、全て渡らせる意図だとわかるはず。

「人が乗った自転車だけは、車は無視して走ってよい」は、デマです。

警察官や弁護士の説明が間違いだと、見抜く力が市民に求められます。

乗車と降車の区別は都市伝説だった

いいですか、元々の道交法38条の意図はこう。

・ 歩行者と、自転車を押す者は、車に優先して、横断歩道を渡る
・ 自転車に乗っている者は、車に優先して、自転車横断帯を渡る

自転車横断帯を廃止し、横断歩道に統合したので、今はこう。

・ 歩行者と、自転車を押す者と、乗っている者は、車に優先して、横断歩道を渡る

これが日本語の厳密性です。国の財政政策でも大混乱している日本語です。

横断歩道と自転車横断帯を併設する計画を中止し、横断歩道が両方を兼用するのが今のルール。自転車横断帯の廃止は、こぐ自転車を通せんぼする目的ではない。

自転車横断帯を廃止した理由は、歩行者が中を歩いて自転車と干渉する欠陥です。

また自転車が忠実に自転車横断帯の中を通って、ちょうど左折トラックの死角に入って、ひかれた死亡事故が起きました。自転車側に渡る位置を選ばせ、自衛させるわけ。

もうひとつは、緊縮財政で地方交付税交付金を削減されたから、白線の節約です。

乗った自転車を排除したがるドライバー心理は何なの?

車にとって自転車も障害物で、保護せずに急ぎたい。

ドライバーには正しい運転の自転車さえ不快なのに、平成以降の自転車全般のでたらめな走行で、さらに不快なのです。

自転車が四つ角を右折するたびに右側通行で短絡逆走し、出合いがしらに車にあたる。

車にとって自転車は天敵か

ドライバーは38条の解釈に、自転車の連中に損をさせたい気持ちが混じります。

チャリカスたちを罰したい思い。あおり運転する衝動と似通った潜在意識です。

自転車のカオスと、新自由主義とグローバリズム

税金は財源でないのに財源とみなすと、緊縮財政と消費税増税でデフレ不況が続きます。その人心荒廃で、車の危険運転ブームと自転車の好き勝手が同時に起きています。

無法で粗暴なモンスター運転が多発する事情のうち、自転車側がこれ。

・ 緊縮財政による貧困化で、車をやめて自転車通勤する者が増えた
・ 緊縮財政による教育コストカットで、小学校の自転車教育は省略
・ 賃下げ目的で遅刻に罰金を払わせる企業が増え、皆が急いでいる
・ 貧困化で仕事を掛け持ちし、時間に余裕がなく一分一秒が惜しい
・ ブラック企業で抑圧を受けたワーカーが、怨念で手荒に運転する
・ ワーキングプアを強いられる絶望感で、消極的な自殺願望が潜伏
・ デフレ不況の価格破壊で命の価値も下がり、人権侵害が横行する
・ 外国人移民促進で、右側通行や自分勝手が文化の他国籍人が流入
・ ロードバイクや電動アシストなど、自転車の高速化が一般化した
・ アウトロー的な電動キックボードの無法に、自転車も触発された
自転車にヘルメットは必要なの?

自転車で何度も転んだ人は、ひざやひじや手のひらを負傷し、でも頭はまず打ちませんでした。それはしかし、古きよき時代の話です。

飛び出してもいない自転車を車がはねやすい、車側の事情も増えています。

・ 車の幅が広くなった(クラウンで1695ミリが、1840ミリへ145ミリ増)
・ 車体の剛性強化で窓面積を小さく設計し、死角が増えた
・ 児童にも動かせるAT車が普及し、ラフな運転が激増した
・ AT車のペダル踏み間違いで、世界各国で暴走事故だらけ
・ 人間工学を考慮しない、慣れにくい操作メカがトレンド
・ カーナビや携帯類のよそ見運転が、日常的に一般化した
・ 高齢者の誤操作や体調不良で、時速百キロ近いミサイル
・ 緊縮財政で、標識や表示や白線の欠陥が放置されている
・ 緊縮財政で、立体交差や信号プログラムも改良せず渋滞
・ 緊縮財政で、自動車学校や教習場の教育指導が甘い傾向
・ 緊縮財政で、ブラック企業下での危険運転が急速に増加
・ 貧困促進で、イライラしたやけくそドライバーが増えた
・ 貧困促進で、任意保険なしや整備不良のままの車の増加
・ 賃下げ目的で外国人を増やし、無免許や未熟運転の氾濫

Yahoo質問には「私の旦那は運転中にすぐカッとなる」の悩みが多く寄せられています。あおり運転する車内で、低い沸点でキレるドライバーと家族の分断も起きていて。

傍若無人のモラルハザードは、新自由主義の特徴なのです。構造改革と規制緩和。

強者優先、弱者淘汰、格差拡大、福祉撲滅、保護主義反対。成長否定、安全放棄。

従来の秩序をぶっ壊せ、のキレた感情は道路交通にも。

高齢ドライバーの増加は深刻では

国鉄民営化で赤字ローカル線を廃線にし、通貨発行量が減り貧困化が起きたわけですね。

その間違った通貨削減と同じ動機で地方交付税交付金を減らし、地方の公共交通は壊滅しました。第三セクターやPFIを経た鉄道やバスは、赤字批判されて存続できず。

地方で車なしだと、週2、3回の買い物が不可能だし

お金を刷れる公的機関が、お金を節約したら経済成長が止まります。

地方では乗り物選択の自由が消えたのです。新自由主義で先進国を返上すると、高齢者はマイカー頼りで免許証を返納できず、免停や取消後の無免許運転も当然増えます。

民営化は必ず、弱者を始末するジェノサイド的に機能します。今の日本がそれ。

記事→ AT車と老害

善人たちが流した大衆向けのデマで人命が失われる現象は、国家経済に限りません。国民同士のヘイト感情は、道路交通にも流れ込んでいるのです。
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