美術館が絵画を買うと国民の財布は厚くなる:日本製か外国製か

国内画家の絵を、公立美術館が買うと経済成長する

日本に住む画家の絵を、日本の公立美術館が買うとします。

購入費は税金じゃないよね

公金です。税金は財源ではありません。通貨発行したお金で買い、買えば買うほどお金は増えます。買えば通貨総量が増え、日本国民の暮らしが上向きます。経済成長します。

地域文化が活性化して経済成長する以前に、絵を買う必要があれば、お金を発行する必要(需要)が生じ、国債発行する機会が生じ、通貨増量で国の富裕化が起きます。

国民の思考とは、まるっきり逆なんだ

国民は、金庫にためた一万円札で払うのだと勘違いしています。絵の金額だけ日本のお金が減り、底をついて破綻するのだと、正反対の嘘で脳内妄想しています。

買い物した減り分を重税で補う荒唐無稽が、失われた34年の主因です。

だから現にこうなわけ

腹を満たさない美術なんぞに使うお金がもったいなくて、日本で美術が嫌われる面もあります。「俺たちが理解できないアートを、俺たちの税金で買うのは腹立つ」の妄想。

先進国で、日本人だけがアートをばくぜんと憎んでいます。国家経済の知識がないので、誤解で理論武装した、その結果の芸術嫌い。「花より団子」の国民性です。

だから現にこうなわけ

外国画家の絵を、公立美術館が買うと経済成長しない

外国に住む画家の絵を、日本の公立美術館が買うとします。

支払いは外貨なので、メカニズムが全く違います。

外国への支払いも理解の壁か

絵の代金100万円を送金して、画家が住む外国の現地銀行に入れるとします。この場合、画家は円で受け取るのでなく。アメリカならドル、EU国ならユーロで受け取ります。

外国銀行の預金通帳に円は記載できないから、送れば直ちに為替交換されます。

まず注意がいるのは、日本円が海外流出したわけでない点です。

ここも勘違いが多い。

つまりお金は外国へは出て行かないわけか

大半の人が誤解していますが、通貨は国境を越えません。為替交換後も、発行した国側に残存します。円は日本国内に残り、ドルは米国内に残り。

輸入絵画の場合は経済成長はどうなる?

ほぼ成長しません。

どういう計算なの?
名目GDP = 消費 + 投資 + 政府支出 + 輸出入

消費は国民の買い物、投資は企業の買い物、政府支出は公共事業。

公立美術館の買い物は公共事業なので、国産品を買えばGDPはまんまプラスです。

しかし輸出入は「輸出額-輸入額」です。買うと100万円のプラスでも、輸入で100万円のマイナスになり、プラマイ0でトータルは経済成長しません。GDPは横ばい。

国内画家を買った時だけ、GDP増で経済成長か

内需国だと経済が強く安定する理由が、まさにそこです。

輸入過多の国は商品が枯渇しやすいから通貨を多く発行できず、GDPが小さい経済小国にとどまります。良性デマンドプル型インフレ率が、変に上がりやすい国です。

原油や小麦粉と同じで、美術品も国産を買うなら確実に経済成長します。輸入品なら経済波及効果の方に期待できます。

平成令和の経済低落はどういうこと?

世界一商品が枯渇しない日本なのに、ジンバブエを真似て通貨を削った自滅です。

明治より前の日本は、意外に美術輸出国だった

日本で「絵画」と言えば、洋画を指した時代があります。「金髪女性の人物画」「果物の静物画」「教会堂の風景画」などが売れ線でした。

この「西洋に追いつけ」の明治以後と比較し、もっと昔の日本ではオリジナル創作美術の輸出が多かった実態があります。

まず長崎の出島時代のオランダ交易で、古伊万里焼などの磁器を西洋貴族が買い込んでいました。今見ると、彩度が落ちた渋い色で、ごってり感と貫録がある名品です。

江戸の浮世絵なんかは

浮世絵には筆書きと、木版画プリントがあります。

19世紀、陶芸の包み紙に使われた浮世絵の風俗画が発端となり、1867年(慶応3)のパリ万国博覧会に徳川幕府がアート類も出品した頃、向こうはもう日本ブームでした。

その後もジャポニズムブームはリバイバルし、北斎や広重、写楽や歌麿の浮世絵版画は、今やパスポートの図柄です。版木やオリジナルプリントは海外美術館にあったりして。

外部→ 西洋の日本文化ブームの歴史ダイジェスト

人魚や河童などのはく製も江戸の日本から西洋の貴族社会に輸出しており、一種のアートオブジェと考えられます。

人魚のミイラは今もテレビに登場するし

人魚や河童は神社などに納められており、日本製です。江戸の職人が複数の生物を念入りに接続して、パーツ類を貼りつけていぶしたフェイク商品です。

西洋のお城でひっそり伝えられ、今も残るものが多いらしい。こうして日本は輸出代金の純金も多く集めたようです。

日本の純金はその後、アメリカを経て中国に流れたと言われます。

古美術を日本で維持や保全できないピンチだそうだが

政府が演じる金欠のお芝居が招く通貨削減で、美術にも実害が広がっています。

世界で日本だけが緊縮財政と消費税増税で、故意に国民を貧困化させ、経済活動を不調にして企業を傾けるあれ。国内美術も海外へ放出させるレントシーキングです。

作品管理が重い負担になるよう経済低落させ、所蔵を断念させ売りに出させる策謀

海外ファンドが、緊縮の日本から安く買い叩く口車です。

世界には積極財政でお金をばらまいて経済成長している国が多く、そこに高く転売しては利ザヤを得るビジネスモデルです。

国立美術館が絵画を買うお金は通貨発行するから、単に買うだけで経済成長します。一方、外国の絵画を買えば輸入になるから、経済成長はわずか。
Photo: by nomao saeki on Unsplash