円安でも日銀が金利を上げない理由は:米ドルはなぜ強い?

ニセコひらふ

ドル高・円安は、アメリカと日本の何が違うから?

1ドルが何円にあたるかが「ドル/円」です。

1ドル115円より、1ドル140円の方が、ドル高である = 円安である

二国のお金の価値の高い低いは、二国の経済力に従うのです。

その経済力とは何を意味する?

次の状態なら経済力は上昇中です。

1.国民所得が増加中 = 政府が通貨を国内にばらまき、実質賃金が増えている
2.企業売上が増加中 = 金満の国民が物やサービスを買い、企業が潤っている
3.GDPが連続増加中 = 国や企業や国民が出費して、GDPが上がり続けている
4.インフレ率が高め = 良性のデマンドプル型インフレ率の適切な上昇が続く

アメリカは全て満たし、日本は全滅。

1995年からのアメリカと日本の差を見る

なぜアメリカは好況で、日本は不況か

まず『Windows95』の発売以降、アメリカはシリコンバレーに軍事予算をばらまいて、ドルを増やしました。当然ばらまくお金は(デジタルで)新しく刷り足します。

アメリカ 日本
財政はどちら 積極財政と減税 緊縮財政と消費税増税
お金をどうした どんどん増やした どんどん減らした
政府は何をやった ドルをばらまき続けた 円をばらまき徹底拒否
国の無駄は 国の無駄を増長した 国の無駄を削減した
国民のふところは 所得増で富裕化 所得減で貧困化
消費の動向は 消費ブーム 節約ブーム
冷戦後の努力は アメリカを取り戻そう 日本らしさを捨てよう
してその結果は 成長した30年 失われた30年
通貨の価値は ドル高になった 円安になった
通貨の金利は 金利上昇 ゼロ金利

当然の差であり、疑問はわきません。

2022年の春から、円安が一段とひどいのはなぜ

コロナ以降はアメリカも景気が落ち、デマンドプル型インフレが0.1%に下がりました。そこでトランプ大統領は減税し、ドルを特別多くばらまきました。

その後IMFも「各国は通貨を最大限発行せよ」と、全世界に向けて勧告しました。

バイデン大統領もばらまき続け、デマンドプル型インフレが2.6%に上がりました。

日本だけはコロナ後もばらまき拒否が激しかった

ばらまきを渋ったアベノマスク氏が多少ばらまき、次の総理以降はばらまき拒否。

貧困自殺を増やすこの政策に対し、日銀は人命を守る方向で超低金利を続けます。

当時2021年春頃は、それほど円安でなかったが

新型コロナ後半に、各国は行動制限を解除しました。イベント解禁など商業再開です。

すると景気が上がるから、金利を上げて釣り合わせます。

アメリカは多くばらまき、金利上げも目立ち、日本との差が拡大したドル高現象です。

なぜアメリカはドルを多めにばらまいた?

中国との戦いに勝つため。中国はコロナ前からニュータウン建設でも人民元をばらまき、経済成長が飛躍的です。

増えた人民元を円に換えた中国人が、北海道や京都の土地建物を安く買い叩きます。

日本、アメリカ、中国のばらまきぶりと経済成長のグラフ

もうひとつはロシアウクライナ戦争で、ウクライナ支援の金額だけアメリカ国内は景気が上がるから、デマンドプル型インフレが下がりにくい現象も隠れ理由でしょう。

アメリカFRBは金利を上げるが、日銀はなぜ上げない

アメリカは好況で、日本は不況だからです。

・ この場合の金利は、自国通貨の公債のうち長期国債の金利をいう
・ 金利は各国の中央銀行が手動で決め、行員の頭で判断し決断する
・ 金利を上げると景気を冷やすことができ、下げると景気を温める
・ 高い金利の効能は、民間融資が抑制され、お金が増えにくくなる
・ 長期金利の高さは、今年より来年の景気がよい見込みを意味する

金利とは、国の経済成長ぶりに対して与えられる、成績ともいえます。

次の順序で金利を上げるのです。

政府が造幣してばらまく → 消費が増え景気が上がる → 中央銀行が金利を上げる
不景気の時は金利を下げないと、成り立たないわけね

「世界にならい日銀も金利を上げろ」は「成績を高く書き換えろ」と言う無茶です。

試験の点数が悪かったから、5段階評価の2をつけられた
他生徒との差をなくすために、4や5に書き換えろと要求 ← 利上げしろの声がこれ

この子の成績が2と低いのは、5と書かなかった教師が原因だとする主張。

日本の経済論者や名誉教授たちも、金利の意味を全く理解していません。

理解しないのはなぜ?

管理通貨制度を無視して、金本位制、財源論、貨幣のプール論が信条だからです。税金は財源でないのに財源扱いすれば、無限に増税が必要で、経済成長が絶対に起きません。

多くの日本人は、お金を倍増させれば半分に薄まり、価値が半分に落ちる思考なのです。

ではアメリカがドルをばらまけば、何が起きたか。ドル安でなくドル高になりましたね。それで論者や名誉教授たちは、現実を説明できずにいるわけ。

説明できない部分は黙ったり、嘘を塗り重ねたりに終始します。

日本で経済に関して、通説が20個出てくれば、20個とも嘘です。

記事→ 経済の勘違い20選

日本だけが金利上げしないのは、ばらまきを拒否した結果です。緊縮財政と消費税増税で不景気だから低金利を強いられ、世界にくらべて円安です。
Photo: by Eric Ward on Unsplash