デフレなのに物価上昇する日本だけの特別な生活苦は何か

世界はインフレ好況で、日本だけがデフレ不況

すぐ見落とすのが、世界で日本のみデフレ不況である事実です。インフレ好況のアメリカや中国にならって、同じインフレ対策の金利上げを行うと、日本は倒れます。

インフレのメカニズムをおさらい

物価上昇をインフレと呼び、相対的に自国通貨の価値が落ちます。

メカニズムは全く異なる二つ。

A デマンドプル型インフレ (良性) = お金をばらまき、消費ブームで物価上昇
B コストプッシュ型インフレ(悪性) = 石油などが高騰し、原価上昇で狂乱物価

Aは、物価以上に所得が上がって楽しい毎日。

Bは、所得は逆に下がって生活に困窮。

どちらも商品不足だけど、原因が全然違うんだ

物価が上がる理由は、まだあります。

C 貧困化の果ての物価上昇 = デフレで物が売れず原価割れして、やむなく値上げ

Cが日本型の物価上昇です。

3パターンは具体的に?

食パンや菓子パンだと。

A = 政府が公共事業を増やすと国民のお金が増え、皆が多く食べ始めて品薄で値上げ

B = コロナ下火とロシアウクライナ戦で小麦価格が高騰、原材料代を転嫁して値上げ

C = 政府の通貨削減で貧困化し買い物が減り、売れ数が減りすぎて元が取れず値上げ

日本の物価上昇は、世界とかけ離れたデフレが原因

世界では、A+Bが起きています。

日本だけ、C+Bが起きています。

日本だけは、逆に売れないから値上げ?

物が売れない理由はこれ

貧乏人だらけで買わないから、メーカーが儲からず、苦しまぎれに値上げするわけ。

お菓子の中身をこっそり減らした「ステルス値上げ」もそれです。

マスプロダクションの量産効果(スケールメリット)が、デフレで破壊されるから。

バブル時代は良性インフレでお菓子が爆売れし、コスト減となり増量が盛んでした。

今よく聞くスタグフレーションはどっちを指す?

今は世界も日本もスタグフレーションです。でも内部構造が違います。

世界はうだる暑さの中、水に突き落とされた。

日本は凍える寒さの中、水に突き落とされた。

コロナやロシアウクライナ戦争の前はどうだった?

インフレ対応のずさんさは、日本以外にもみられる

コロナ後半から、アメリカはインフレ対策の議論を延々と続けています。

が、米FRB議長は「インフレを絶対におさえる」と言うものの、二つの区別を言わない。金利上げは良性インフレを冷却するから、冷えた悪性インフレで金利上げすると、二重に冷えて景気後退(リセッション)が始まります。

米首脳たちのごちゃ混ぜ発言は、古典経済の知識が古いせいなのか、フェイントをかけた対外発言なのかが疑惑なのです。他国に入れ知恵したくないとか。

日本には難しい話に思えるが

「インフレで日本も金利を上げるか」の記事で、国債の仕組みを知る人の投稿がこれ。

利上げが物価上昇を抑制するとは限らない。今の物価上昇の主因は景気が過熱して商品需要が増えたのではなく、ウクライナ情勢で資源や食糧供給が細った原価上昇が原因だからだ。

↑ 日本に良性の成分は乏しく、全面的に悪性インフレだと指摘

今の日本では金利上げで需要をおさえて物価を下げる効果はなく、むしろコストプッシュを強め、更に物価を上昇させる副作用が大きい。

↑ 不況値上げプラス原価高騰の値上げでは、金利上げは自殺行為だと指摘

アメリカがウクライナに軍事資金を渡し、ドル国債の増発でドル調達しているのはあまり報じられない。急ピッチの利上げは、戦費目的で新規国債を売りさばくためで、物価抑制は口実だ。

↑ 米国は戦時国債を出し、買う他国に金利ボーナスを出す販促を演出中と指摘

財政資金を海外から調達する必要がない日本が、欧米の金利上げに付き合わずに済んでいるのは幸いだ。

↑ 日本は自国通貨建て国債を自国で回すから、世界一台所が強い構造だと指摘

いいね39・だめね37

アメリカの良性デマンドプル型インフレは落ち着き、暴れているのは悪性コストプッシュ型インフレだけ。なのに当局は、金利を0.5%でなく0.75%上げたがる。

上げたい理由が、ウクライナの戦費を得やすくする目的と言う投稿です。

日本と同じ立場の国はないわけか

悪性インフレだけの日本は、何をすべきか迷う時点で、知識ゼロとわかります。

フランス革命も世界大恐慌も、積極財政と減税以外に人類がデフレを克服した例はないのです。税金は財源ではなく、通貨発行が国の財源だからです。

経済学の瑕疵で目立つのが、インフレの二種類とデフレへのトータルな理解の欠如です。経済版天動説のせいで、人類は世界を荒れさせています。
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