イギリスはEUから離脱し、独立した王国へ戻る
イギリスがEUから脱退する動機を、日本で理解できないのはなぜか・・・
今日2020年2月1日にイギリスはEU、欧州共同体から離脱しました。1973年からEUファミリーに加わり、今また元の一人に戻りました。厳密にはUKは4人組ですが。
EUからの離脱は国民投票で決めたのですが、なかなか実現しませんでした。EUにとって加入は歓迎しても、脱退が自由だと困るからです。
最後まで残ったのは、アイルランド国とイギリス領北アイルランドとの陸続きで、国境を復活させるかの問題でした。「バックストップ」と呼ぶ問題でした。
日本の反応は
報道も世論も「イギリスは愚かな行動に出た」の論調が圧倒していました。どう考えてもイギリスの英断ですが、日本で理解されないのはイギリス事情の認識不足でしょう。
イギリス人が日本の立場や事情を知らないのと、ほぼ同じでしょう。普通のこと。
それに日本は根底に「寄らば大樹」「鶏口となるも牛後となるなかれに反対」の国民性がある気がするんですね。団体が正義で、孤立は悪だと思いやすい性格というか。
イギリスは出る杭?
もうひとつ大きいのが、EUの実態への知識不足です。
日本で起きている貧困もそうですが、基礎知識がないせいで世界の流れを適切に読めない支障が起きています。世界の動きが読めない日本人。
基礎知識がさっぱりないのは、ニュース番組でも一番大事な部分に触れないことが多いからです。一般論で流すから風評に傾くわけです。
EU各国を日本で言うなら、各県みたいなポジション
イギリスがEUから脱退したい最大の動機は、移民難民です。無制限に入ってくるのを、自国の意思で止められない仕組みだからです。EUは全体で一国のように設計され、各国は日本でいえば県の地位と少し似ています。
民主主義の否定 2 = 国の外に、全てを支配する上司が別にいる
民主主義の否定 3 = その上司は、国民の選挙で選ばれていない
EU域内では東京都のポジションはドイツで、大阪はフランス、名古屋がイギリスみたいです。ユーラシア大陸から離れた島がイギリスだから、しっくりきませんが。
EUには自由で民主的なイメージがあるが?
EUルールで、人の移動は自由です。
誰がどの国でも旅行でき、引っ越して住めます。そこで加盟国の失業者たちはいっせいにイギリスを目指しました。それが目当てで加盟する国もあるほどで。
イギリスはそれを制限できず、受け身です。
鹿児島県の人が東京や名古屋へ移り住んでも、話す言葉は同じ日本語です。もし別言語の人が押し寄せて、人数が逆転したら混乱しますよね。イギリスがそれでした。
イギリスはそんなにあこがれ?
イギリスは1960年代から世界のロック音楽のスターやグループを多く輩出したように、先進文明国のトップで文化的にも裕福です。実はスポーツ大国で、オリンピックのメダル数も日本よりずっと多いし。
それでイギリス国民になりたい希望者が殺到しました。イギリスに入れば何とかなるし、お金を得られそうだと、次々とおんぶしてきます。特に旧東側の国からです。
言葉が違う大人が殺到?
母国語が異なり言葉が通じず、イギリス内の小学校は授業も成り立たず、ぐんぐん国が傾き始めました。国が崩壊する事態です。
それを止められず、EU憲章や憲法で制度はロックされ、国を乗っ取られたかたちです。
イギリスは富を食い尽くされるEUのワナをやっと理解し、脱出を考えました。
民主主義と自治権の問題は、日本人は大の苦手だった
日本でイギリスの立場を理解しにくい理由に、民主主義の歴史の浅さがあります。
日本も民主主義国ですが、市民が権力者と死闘して勝ち取ったのでなく、上が与えたぬるま湯の民主主義です。だから大事さが違い、どうでもいいようなフシがありませんか。
「主権」がどこにあるかに関心がない国民性です。
ある変更が民主主義を守る方向か、壊す方向かも、見当がつかないのが日本国民です。
実はイギリスも日本と似て、フランスのような激しい内戦もなく王政が続いていますが、ただ、民主主義は上からの押しつけではないようです。
EU本部はドイツでなくベルギーにあり、その為政者となる欧州委員会は、選挙で選ばれていない問題も大きいのです。
EUにいると政策がアバウトってこと?
EU国は謎の神の手で支配され、各国は国民の選挙で国の仕様を決められません。自治権が消されているから、決めても法的に無効です。移民を年に何人と計画的に整備するのは禁止で、国の未来も予測不能になりました。
EU加盟国は民主主義を捨てているのです。イギリスはやっと取り返しました。
日本では、EUは民主主義の破壊でなく完成形だと、あべこべに解釈しています。
日本らしい思考はこうでしょう。
「仮にその政策が間違いなら、政権がやるはずがないだろ!」。
「現に今やっているのだから、正しいことを保証している!」。
イギリス人はそうは考えない?
自分たちで相談して決める自治権を、EU本部から取り返したのがイギリス。関心がないのが日本。だから日本でブレグジットの理解は閉ざされます。
日本のブレグジット関連ニュースは、「協調性のないイギリス」という日本の道徳規範に終始しました。団体を出るのは、わがままだという読み方です。
でも脱退すれば経済的に損しないのか
まず、イギリスに国の財政問題はありません。
イギリスはEU内で例外的に、世界基軸通貨ポンドを使い続けています。脱出しやすいといえます。統一通貨ユーロに取り替えたイタリアやスペインだと、貨幣復活が負担です。イギリスより先に富を吸われて、先に斜陽国に変わりました。
日本ではEU制度を話題にしない傾向がありますね。これはEUは成功だと日本で誤認しているからでしょうね。
具体的には?
たとえば国境の扱いです。
日本では国境を消すことを、人類のゴールと思っていませんか。貿易がスムーズで便利になる話ばかり出てきます。
実際には為替や関税がないと、国力の差が吸収できずに荒れていきます。それでEU全域で、いわゆる世界同時不況が慢性化しています。
各地で続いたイスラム系の自爆テロは、最大の問題ではありません。
日本はギリシャになるのか
ところで「日本もギリシャのように破綻する」のデマ。EUの構造やギリシャの特殊事情を知らない人が、テキトーに話をつなげたのでしょう。
日本はギリシャ化したくても難しいのです。ギリシャのようにドイツから借りたユーロを返せなくなるデフォルトが、日本に起きない理由は後で触れましょう。
次回ね
いや気が変わって、ここで触れます。
日本はドイツから円を借りていないから、デフォルトしないのです。
・ 日本国民が得る通貨の円は、東京に置いた貨幣プリンターで好きに刷れる
日本国内で、円の不足は絶対に起きません。
日本の金欠は、通貨を減らす政策のせいです。独自のカルト宗教なのです。
なぜ日本人はカルト化を見過ごすの?
「仮にその政策が間違いなら、政権がやるはずがないだろ!」。
「現に今やっているのだから、正しいことを保証している!」。