スマホカメラがあるから、高級一眼カメラはもう不要?
「スマートフォンカメラが発売され、高級カメラは売れなくなった」。
「スマホで十分だから、もう単体のカメラは不要だ」。
マスコミ報道に多い間違ったロジックです。
よく聞くけど
オリンパスがカメラ事業を手放すという、昨日2020年6月25日のニュースでも同じ言い方でした。この言い方が怪しいのは、天体望遠鏡が同じ状態だからです。
カメラでなく望遠鏡?
天体望遠鏡もまた、昭和時代によく売れました。
ある程度の年齢以上の方は、天体望遠鏡と木製の三脚が家にありました。大きい持ち家の裕福な家庭以外に、小さな借家の母子家庭でも、天体望遠鏡を意外に持っていました。
宇宙開発時代と関係がある?
少年少女の興味の一角に、星空があったのです。「自分で望遠鏡を動かして、木星の月や土星の輪を見たい」とか。ちなみに顕微鏡は、もっと前の1960年代に大ヒット。
そしてやはりスマホの時代に、天体望遠鏡はめっきり売れなくなりました。
ビフォーコロナの頃、天体望遠鏡を買う家庭はほとんどなく。
天体望遠鏡が売れないのは、国民の所得が減ったから
国民が物を買わないのは、緊縮財政と消費税増税で所得が落ちたからです。
昔は売れて今は売れない商品の多くは、生活必需品以外です。真っ先に教養や趣味の分野で買い控えが始まり、じわじわ生活苦が押し寄せてきます。
これは世界の潮流ではなく、日本だけの政策の逆走が原因です。
望遠鏡はスマホの機能と競合しないし
一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラは、もはや高くて手が届きません。
高級カメラや高級腕時計はスマホの機能でも部分的にカバーでき、「スマホで十分だから不要になった」と言いたくなりますが、因果関係は逆ですよ。
カメラが売れない方が先だった?
その証拠にスマホがない頃から、高級カメラを買う人は減っていました。
ミノルタは2003年にコニカと合体して、業績回復せず、カメラからの撤退は2006年でしたね。スマートフォンのヒットと一般化は2007年です。起きた順が逆ですよん。
携帯カメラとは違う趣味性の高いディープなビジュアルの世界なので、カメラ女子なんていうデジタル一眼レフカメラブームが、2000年代にありました。
でも消費税5パーセントが効いて所得が減り続け、カメラ趣味からの撤退も続出して。
スマホ時代に売れない物は多い?
スマホの発達に歩を合わせるように、何もかもが売れなくなっています。
ゴルフクラブやヴィンテージワインや高級家具もそうですよね。ガラステーブルやホームアスレチック設備だとかも。遊ぶもの、プラモデルや手品道具なんかもそうだし。
スマホで商品を簡単に調べられ、昔より買い物が手軽な時代です。買う手続きがスマホで楽になった時代に、逆にあらゆる物が買われにくい現象です。
スマホ時代に売れない大物はピアノです。昭和時代の家庭には、ピアノか電子オルガンがよくありました。今はめっきり減っています。
高額なレジャー系は全滅か
ビール離れとビール風飲料ブームも、スマホと似た時期ですね。スマホがあるから風味を落としたくなったのではなく、金に困って節約したのです。
本物のビールが買えない生活苦で、安価なイミテーションにのがれたわけ。
そんな中2020年6月19日の発刊を最後に、カメラ雑誌『アサヒカメラ』も長い歴史を閉じました。
文化の消滅か
スマホ時代に国民は体験が狭くなり、教養や見識が落ちていますね。言い換えれば、机上の論の時代です。現実を見なくなり、うわさ話で動く日本人。
その机上のうわさ話のひとつが、財源論です。
AとBが同時に起きると、Aが原因でBが結果と結論しやすい。無関係や逆も多いのに。
因果関係の決めつけは確かに多い
「スマホで全部足りるので物はいらない」は、ハイコストな趣味に手が出ない負け惜しみに聞こえます。イソップのぶどう。
3ナンバー車をやめて、軽自動車に乗り換えたのも、スマホで足りるからなの?。
違う。暮らしが貧しくなり、お金に困っているから。
スマホにお金がかかるから、という理由は?
「スマホ価格や通信費用の負担で、カメラや天体望遠鏡やピアノを買うお金まではない、という競合なのだ」と、反論する声もあるでしょう。
今その話をしているのです。
高級商品が買えない貧困化に、日本国民が追いやられた話をさっきからしています。
スマホは商品キラーであるかにみえて、高級品が買えない貧困化が先にありきで、そのせいで減った体験を穴埋めする役です。貧困の逃げ場に、スマホがなっています。
マスコミはなぜ、貧困化で物が売れないと言わない?
「日本は貧困化して、内需が落ち込んでいる」「だからカメラも売れない」。
マスコミがこう率直に言わない理由は、電波使用権が指摘されます。
新聞社と違い、テレビ放送局は自由参入できません。放送電波の周波数に物理的な限界があるからです。限られた周波数の割り当てを獲得する権利問題です。
政府機関は許認可権を持ち、放送界にニラミが利きます。
各局は放送内容しだいで、電波を没収されないか戦々恐々?
電波の使用料問題です。世界各国ではオークションで電波使用料を決めています。しかし日本では昔から格安の電波使用料です。
日本語Wikipediaによると、2013年のフジテレビ系は電波使用料が3億9920万円で、事業収入は3468億円。電波使用料は、収入のわずか868分の1です。つまりぼろ儲け。
もし他国と同じオークション方式に変えれば、電波使用料は相当増えます。放送局の社員は、普通の会社の3倍などの高給取りは難しくなるかも。
テレビが政府批判をゆるめた理由がそれか?
放送局は安い電波使用料を続けたくて、政府に忖度し批判しない説があります。
ただ経済に関しては、研究会もない不勉強が大きいでしょう。テレビ局全体の基礎学力や教養低下の傾向はよく言われますが。
コロナ給付は、政府発表では通貨発行なのに、マスコミは財源の枯渇を不安視して、現代のお金の知識がない素人企業だとわかります。
放送局は何を言うべき?
「日本は28年間不景気で、23年間デフレ不況です」。
「同じ期間に、日本以外のあらゆる国はインフレ好況です」。
「緊縮財政と消費税増税で、日本だけが貧困化しました」。
「物が売れなくなり、日本経済は長い年月GDPが横ばいです」。
「所得減で内需が落ち、国内のカメラメーカーは次々撤退しました」。
「カメラが買えない人は、スマートフォンカメラに逃れています」。
「コロナ給付を激増させれば、日本経済は右肩上がりに戻ります」。
「日本の問題は財政破綻ではなく、通貨削減です」。
「それを示すグラフをご覧ください」。
放送で絶対に触れないから、ネットで知った者はテレビから離れます。