万年筆マネーとは銀行の信用創造:コロナ給付金は誰にも返さない

万年筆マネー

現代のお金の大半は、預金通帳の数字で流通している

驚いたことに、お金を発行する方法は、説明の99パーセントが真っ赤な嘘です。

大学の講義や日本語Wikipediaも、全て間違っています。

お金の発行のしかたを知りたい

お金を発行する役は、まずは中央銀行です。日本銀行です。そして一般の市中銀行です。メガバンク、都市銀行、地方銀行、信用金庫など。

お金の正体は借用証書です。貸し借りの記録用紙で、昔は粘土板でした。今でも、借りる人が誰かいて、初めてお金が生まれます。

そんなお金を信用貨幣と呼び、この方法で世界が動いています。

記事→ お金は借用証書だった

銀行が貸すお金は、店頭でいきなり新発行したマネー

銀行は何と、通帳に書いた瞬間にお金を発生させます。

記事→ 銀行がお金を生む

大衆はそこがついていけない

マネー・クリエイションと呼び、日本語で信用創造と訳されます。

金融会社の出身者などお金に特別詳しいはずの人も、この根本を誤解しています。

大人気のカリスマ金融マンも、まず全員が間違っています。

どういう誤解?

非常に多いのが、次の間違った一言です。

「銀行は、預かったお金を貸している」。

ええっ、それさえ間違いだった?

在庫のお金は回さず、担保にもしません。銀行業務は預金部門なしに成り立ちます。

よく見かける次の説明は、完全に間違いです。

「Aさんが銀行に預けた100万円のうち99万円を、銀行がBさんに貸します。するとあら不思議、銀行にあるのは100万円なのに、全部で199万円に増えましたとさ」。

ネットもその説明ばかりだが

完全に間違っています。それだと300年前の方法でしょう。

現代は何が違う?

「Aさんの100万円」の前振りが不要です。

預金が0円でも、Bさんの通帳に99万円や2000万円を、記入するだけです。

Bさんに貸す99万円は、増殖や又貸しではないから。

ソフトが最低一個は必要になる、レンタルビデオとは違います。

ささいな解釈ミスか?

ささいでなく、致命的です。

お金を土台にしてお金が生まれる曲解だと、最初のAさんの100万円がどこから来たのかが説明できず、発端がウヤムヤです。

すでにあるお金を元にするなら、すでにあるお金は何なんだという話になりますよね。

この種の間違いを俗に財源論と呼び、必ず結論を間違います。

どう間違う?

「銀行は又貸し業」ならお金は貴重です。出資者のAさんが資金を生む救いの神だから。

本当はBさんが借りるだけでお金が生まれるのに、Aさんの貢献だと誤認します。資産家の持ち金が銀行業を支える誤解釈で、人の値打ちを測る偏見が起きます。

お金持ちが国を支えて、貧乏人がおんぶするイメージが財源論です。人の持ち金をみて、命の値踏みや優生思想へ向かいます。

富裕層を優遇し、働けない者に早く死んで欲しい民意に、この誤解がひそみます。

銀行が嫌われるのも又貸しをズルとみるせいか?

根底には、銀行員が高給取りだった過去があります。

「銀行員は僕らが働いて生んだお金を又貸しして、利ザヤをふところに入れて、いい暮らしをしている」「他人を踏み台にして、ずるいなあ」という不満が今もあります。

「お菓子屋さんは、毎日お菓子を好きなだけ食べていいなあ」と、うらやむ感じか。

人々の脳裏に「お金は働いて得る」の常識があります。働かないでお金を増やせる銀行に不当感が起きます。労働の尊さが汚された怒りです。

それらは邪推だった?

カリスマユーチューバーも、まず全員が金融制度のズルを批判します。僕らが預けたお金を転がして儲ける楽な商売だと、頭から誤解しています。

財源論はお金の総量が一定で、「誰かが増えると、誰かが減る」誤解です。お金を宝石のようなブツとみなす間違い解釈が、財源論です。

その人たちは必ず、国の財源を心配する間違いを犯します。低所得者を馬鹿にする態度に必ずなります。弱者を切り捨て、命の選別を始めます。差別主義に必ずなります。

必ず。

実際には貸すたびにお金を新発行するだけ?

かつて、万年筆マネーと呼びました。ペンで通帳に書くとお金が生まれます。

そろばんの時代からお金はソフトウェアであり、ハードウェアではなかったのです。

今はコンピューターソフトが生む電気信号なので、キーストロークマネーとも言います。

「解釈のしかたが色々ある」と言う人は知識不足です。マネー・クリエイションの手法の開発者が決めた定義を、自分の都合で曲げてはいけません。

外部→ イングランド銀行による信用創造の解説(PDF)

上記PDFの「Overview」にこうあります。

今日では、現実の貨幣の創造は、経済学の教科書に見る説明とは違う。
The reality of how money is created today differs from the description found in some economics textbooks:

銀行は家庭から預かるお金を貸すのではなく、融資で預金を創造する。
Rather than banks receiving deposits when households save and then lending them out, bank lending creates deposits.

銀行極悪説、銀行詐欺師説、銀行文明破壊説、etc

マネー・クリエイション、信用創造は無から有と知れば、次の邪推です。

「いくらでもお金を発行できる、こんなインチキは許せない」と。

今度は青天井への批判か

銀行が店頭でお金を発行できると知り、驚き、ひらめき、不正だ、詐欺だ、犯罪同然だと騒ぎ出し、変調をきたす人が一定割合います。

銀行インチキ説を叫ぶ人はセレブの家系だとか、お金で苦労せずに人口抑制や優生思想を他人に強いる身分かも知れません。

現代はなぜお金を多く出すの?

戦争の次が、資本の拡大でした。マスプロダクション、量産と国際化です。

昔の金本位制では、ゴールドとシルバーなど貴金属の所有量で通貨発行は頭打ちでした。そこで貸借の記録という原点に帰り、金券やチケット役に戻しました。

お金を、レアメタルやジューエルから解放し、社会に行き渡らせました。

お金が増えて何が変わった?

私たちは新幹線や飛行機に乗り、スマホやパソコンで世界地図を見て、空調のきいた部屋で快適に暮らせるわけです。

快適な暮らしは、がんばって働いた成果ではないのですよ。各国政府がお金を多めに発行して、GDPを押し上げる方式に変えたのです。政府がお金を発行し続ける方式に。

働いた税金だけで国の出費を本当にまかなえば、私たちは粗末で不潔な、獣みたいな生活に戻ります。下水道もない、汚い毎日です。くみ取り便所と泥道です。

税収イコール予算だと、自分の足を食べるタコ同然で、大きくなりませんから。

マネー・クリエイションを止めたら、人口をお金で支えられず大勢亡くなります。

国民は自分が払った税額を買いかぶってる?

徴税が無駄に重いせいで、逆に国民は国に対して恩に着せています。

税金は余剰金の廃棄であり、納めた瞬間に捨てられます。貧乏人からは取らない(捨てさせない)のが本来で、その分を金持ちから取る必要もありません。

税金は財源でなく、取る量はインフレ率で決めます。一定量を取るのは頭がおかしい。

ということは?

日本の徴税は、金持ちは今より少なく、貧困者はゼロが正解です。出口戦略がこれ。

ドイツも徴税過多で成長が鈍化していて、日独に二次大戦の敗戦国が受けたペナルティの名残りがあります。

日本もドイツも経済成長が劣等なのは、無駄な重税の結果

政府がお金を独占している陰謀説もあるが?

通貨発行権にびっくりした素人考えがこれ。

「政府の通貨発行権益は、利権だ、既得権だ」。

「通貨の自由化と統一通貨で、世界をひとつに」。

「お金なしに暮らせる星に戻して、人類を野に放とう」。

円をやめて仮想通貨に変えたらどうなる?

その説明は、この5月1日の記事から10月22日へ移しました(下記)。

昔はお金不足で、ペストや天然痘で大勢死んだ?

強盗殺人もあります。

新型コロナウイルス大恐慌では、各国政府がお金を発行してばらまき、国民の飢え死にを食い止めています。略奪や打ち壊しも、思いとどまらせています。

現にアメリカでコロナで真っ先に売れ行きが伸びたのは、ハンドガン(拳銃)のメーカーです。人々はドルの奪い合いを予感して、撃たれる前に撃とうと武装しました。

トランプ大統領は、すぐにFRBにドルをデジタル発行させ、国民に毎月配布しました。

記事→ ビットコインを先進国が通貨にできない理由

銀行からお金を発行する作業を敵視する論が、金融への批判に目立ちます。お金で人々の命を救うべき場面で、思想信条が救援を妨害し死なせます。
Photo: by John Jennings on Unsplash