サマータイムと福祉の北欧や、永世中立国スイスにあこがれた失敗

平和でハッピーな永世中立国スイスにあこがれる日本

海外へあこがれて模倣し、コケている日本を考えてみます。

日本の消費税を上げる時に、何となく目標としている国があります。

北欧国です。消費税率を北欧国並みに上げたら、北欧のように福祉が充実した暮らしやすい国に生まれ変わる。そんな素朴なあこがれを、国会議員もしばしば表明します。

北欧より前に、まずは理想の国にドイツをあげる人が多いようです。

でもドイツは大人の国なのです。たとえば売春は合法で、登録制です。オランダと似ています。建前でごまさかない国民性は、日本とは違いますよね。

日本人は灰色決着が好きだから

大学四年生の企業訪問解禁みたいに、紳士協定とか行政指導が好まれるあいまいな国ですから。被疑者を弁護士に接触させないとか。ドイツをまねても脱線します。

次によく日本の目標とされるのが、平和主義的なスイスです。スイスと似た国に日本を変えれば、戦争に巻き込まれない願望です。戦争を卒業した永世中立国スイス。完全な平和が実現しそうだと期待されます。

スイス最強説

しかし永世中立国スイスは、国民の全員が兵士です。徴兵制があり、女性も軍隊に入り、男女とも全員が軍事訓練を受けます。武器を学び、射撃訓練でドンパチやるわけです。

ハリコの兵隊ではだめで、他国から攻められても戦える準備も必要ですね。戦力は抑止力になります。実質的な戦闘態勢は、スイスはどうなっているのでしょう。

それなりに平和的でしょ

スイスでは各家庭にアサルトライフルや、オートマチックピストルを配っています。

アサルトライフルは突撃銃と訳される個人の小火器で、ショートカートリッジのライフル弾を使う自動小銃です。拳銃弾を使うサブマシンガンとは別種で、AK-47やM-16のあの類です。パパパパパパパパパパパーン。最近は3発ずつか。

弾丸も配っていたのですが、近年は家庭で自殺に使う人が増えました。そこで弾丸を配らずに銃だけ配り、持ち慣れてもらう方式に後退していますが。

スイスが徴兵国だと知れば、日本のお手本にはやりにくいでしょう。

EU国の義務制度であるサマータイムへのあこがれ

日本人が北欧へあこがれるひとつは、サマータイムです。EU、欧州共同体はサマータイムを義務づけています。だから日本にサマータイムを導入すれば、ヨーロッパ並みのおしゃれな国に生まれ変わると思っている日本人は、昔からけっこう多かったのです。

最近日本で二度、政治レベルでサマータイムの検討がありましたね。3.11東日本大震災と、2020東京オリンピックです。

2011年に起きた東日本大震災では、原子力発電所が壊れて東京電力の電力供給が減った問題の解決案でした。

2020東京オリンピックでは、マラソン競技を朝涼しいうちに済ませるために、8月に日本全体の時間を大きくずらす解決案でした。その後法律で恒久化すれば、長年の夢を果たせる絶好のチャンスというわけです。

解決するの?

実は何の解決にもならないのに、こじつけがすごかったですね。

まず東日本大震災の3.11後に起きた電力問題ですが、焦点は何でしょう。

東京大停電!

昼休み後に職場オフィスに戻った社員たちが、涼もうとして冷房を強くします。それは13時から15時という、夏の晴天で気温が一番上がる時間帯に当たります。

そうして、東京中のオフィスで電力の使用量がピークになります。一瞬電力不足になれば、広域がいっせい停電して一部の機器が壊れ、回復が遅れる恐怖です。東京の壊滅。

照明も冷房も、エレベーターも止まります。ウォッシュレットも水が出ません。

それを防ぐために、真夏だけ2時間ずらすサマータイム案でした。その案だと、オフィスの社員たちは朝5時に通勤を始めるよう改めるわけです。そしてその5時を7時と呼ぶように、2時間ずらすという制度です。

いつもどおり7時頃から出勤しますが、本来の5時という涼しい時間帯を利用します。

無意味だとすぐわかるけど

もしサマータイムを導入せずに真夏が来れば、13~15時に東京大停電が起きそうです。

サマータイムを導入すれば、15~17時に大停電が起きそうです。

東京大停電はどちらでも起きます。もはや、ギャグみたいな。

東京大停電の解決は、就業時間を分散します。ビル単位で二手に分かれるのが正解です。半分の会社は夜出社して深夜働いて、明け方帰るというふうに、朝晩交代で働けば解決します。全体をずらしてもだめで、個々を散らす。

電気使用量のアベレージでなく、ピークを下げる話なのに。

誰が勘違いしたの?

サマータイムの導入がやりたくて、原発の破壊による電力不足に引っかけただけ。

日本のサマータイムは、実用よりファッションだと感じませんか。欧州コンプレックスではないにしても、アジア的な欧州追従の思考ですよね。

アメリカの作曲家ジョージ・ガーシュウィンの『サマータイム』も、イメージアップになっているのかも知れません。個人のロマンが政策を曲げていく例ですね。

現実の日本はEU国とは全く遠い、アジアの亜熱帯国

サマータイム制の元々の目的は、高緯度の国は夏の早い時刻に外が明るいから、農作業を早く始めることだったのではないでしょうか。白夜やオーロラが見られる国です。

低緯度の日本だと、中味の伴わない模倣ですよね。

日本で一番北といえば、北海道の上の方のとんがった先にある稚内市ですね。そこが北緯45.4度です。

90度の半分くらいね

ヨーロッパ国はどうでしょう。EU本部はベルギーのブリュッセル市で、中心地はドイツのベルリン市です。たとえばベルリン市は北緯52.5度です。稚内どころではなくて、はるかに高緯度です。太陽高度が低すぎ。

ベルリン市の家には、クーラー付きのエアコンはなく、暖房器具だけです。

他のヨーロッパ国も、思いっきり北国です。イギリスとかすごい北方にあります。地図で見て日本の左横にありそうな気がしても、実は左の上の方です。北極近し。

東京の緯度は?

東京の緯度は北緯36度です。ヨーロッパのどのあたりかといえば、実はヨーロッパ南部スペインどころか、地中海より南のアフリカ大陸にかかっています。それほど日本は赤道側に近い国です。温帯ないし亜熱帯の南国なのです。夏の太陽は真上にある感じ。

だから欧州国は驚いています。トロピカル系の南国なのに、先進文明国でハイテクが強いから。「そんなやつおらへん」。

北国ドイツよりさらに北にある北欧国をまねても害しかないと、覚悟すべきでしょう。これは消費税をヨーロッパに合わせる無意味さの印象操作どころか、暗示しているのです。そっちに日本の正解はないよ、あこがれてもだめでしょと。

日本を狂わせる内圧のひとつに、欧州国と北欧国の制度を模倣する失敗があります。時には国会議員のロマンで、日本の優位性を逆に破壊しています。
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