ラジオで時々リバイバル的に流れる、あのキャッチーな名曲が『真夜中のオアシス』。その歌と演奏を元に空想した絵です。
決定的なアメリカンポップスで、動画サイトにカバー演奏がたくさんアップされています。少女声でもオバサン声でも、歌手のカラーで色っぽく引き立つせいもあって、アマチュアバンドがスタジオやステージ、クラブで収録した映像も豊富です。
曲調は70年代のソウルミュージックっぽいのですが、音楽店のソウルコーナーにはありません。カントリー系バンドのデヴィッド・ニクターンが作曲し、バンドの歌手マリア・マルダーのデビュー盤でヒットしたからです。
収録アルバムは全体にカントリーフォーク調なのに、一曲だけソウルふうの都会的な曲が、突然変異で混じった感じです。アメリカのアルバムづくりによくみられる、シングルカット曲のみ異色というパターンです。
歌詞は、砂漠のテントに泊まる娘が、「ベッドにラクダを送るから、夜のうちにあたしのところに来てちょうだい、ロマンスが楽しみね」と、誰かに向けたもの。都市を砂漠になぞらえた隠喩詩です。
グラミー賞の会場では、ソウル系のグラディス・ナイトが歌いました。21世紀になってもカバーバージョンが出ています。
ところがこの曲には、別アレンジの一群があります。オリジナルは3小節目が長調ですが、ここを短調に変えたアレンジで再ヒットさせた英バンドが、ブラン・ニュー・ヘビーズ。その盤からコピーした演奏が、流派のように存在します。
出だしを聴けばどちらの流派かわかり、スネアドラムのリムショットなら長調、チョッパーベースならたいてい短調です。歌詞のとおりに突き抜けたワクワク感は、オリジナルの長調の特徴です。
そのオリジナル曲で使われる11和音のうち、メインの3和音をギターコードとしてプリントしています。このとおりに押さえるとそれらしく聞こえ、エイモス・ギャレットのギターソロにもぴったり合います。