ロック・ミュージックの定義は、「うるさい音楽」とも言います。騒音の洪水のように言われたりします。今もそう。
ところが、実際にうるさいのはお祭り状態のステージ公演であり、スタジオ盤ですさまじく耳ざわりな演奏はロックではむしろ珍しく、意外におとなしいバンドが多いものです。騒音に匹敵するような壊れて食えない音楽は、むしろクラシックやジャズの特定時代に多発しています。
ロック・ファンはたいてい、歌よりもサウンドづくりに関心があります。特にイギリス系の曲に発生する暗い陰影は、ロック史の底辺を支える重要な基盤になっています。単純に暗いのではなく、明るい中に影が差す曲づくりがイギリスは得意です。技術的にはギターのオープンチューニングなど、微妙なコードワークが関係します。
そうしたライトかつダークな「何か」を、竜巻になぞらえています。音楽の突風の直撃を受け、何もかもが舞い上がる危険な図となりました。