うさぎTシャツとしては異色のこの絵は、古くから知られる錯覚を利用しただまし絵です。物の色が背景色の影響を受けて、本来の色と全く違って見える現象です。
左右のうさぎは、等しい色に塗られています。なのに、全く異なる濃さに見えます。背景を手で隠して、うさぎだけをくらべると、同じ色です。しかし同じだとよく知っていても、そのままでは同じ濃さには見えません。
この現象は、Tシャツづくりの濃度の微妙さにも関係していきます。たとえば白シャツと黒シャツに同じ絵をプリントする場合、白シャツ用と黒シャツ用で色の濃さを変えて作り分けないと、どちらかが明るすぎたり、暗すぎたりする場合があります。
もうひとつ、この絵を見ると「シミュラクラ現象」という脳のはたらきが起きます。これは、逆三角形の配置に物を置くと、どう見ても顔としか思えない現象です。人の表情というものは目元と口元でほとんどが決まるので、その三点に常に注意が集中する脳のはたらきだと考えられます(この草稿時に日本版Wikipediaに項目なし)。
いくらドキッとしても、実際には木板の節穴だったり、土のくぼみや岩石の黒雲母の部分とか、雲だとか積雪だとか、炎の色ムラだったりして、人の顔とは何の関係もありません。ところが無関係だといくらわかっていても、脳は顔と受け取ってドッキリしたり背筋が寒くなるから、不滅のだまし絵としても君臨しているわけです。