楽器のTシャツとしては珍しいこの絵は、『白い笛』というキャンバス絵画の30号の小品を立体化した再演モノです。
元の叙情的でメランコリックな画の背景色は暗いグリーンですが、Tシャツの白にのせるために、全体を明るくドライな画風に変えています。
元絵の英題は『ホワイトフルート』で、フルートの前身の龍笛(りゅうてき)という、奈良時代の日本で作られた横笛をモチーフにしています。雅楽の楽団で使われ、皇室でも由緒ある楽器。
この絵は色を何度も変えていて、当初の庶民性や土着の香りを出した稲田の緑から、逆のイメージの紫色に変えました。形よりも色の方に試行錯誤をくりかえしていて、また変わるかも知れません。
ところが、当世楽器の人気度という現実があって、Tシャツではロック用のエレクトリックギターとキーボードがライトをあびて、こうした古典的な楽器のイメージを求める人は、あまりいないのだそうです。ネットで探しても、横笛のTシャツはまれです。
そんなわけで、このTシャツは企画時点で幻化へと向かってしまいました。