極限アートTシャツのコンセプト

極限アーティストTシャツとは、どんな絵ですか――

いわゆるアートTシャツの中でも、より珍しく、より驚きのある絵です。人類が初めて目にする絵だとか、よりトンデモだとか。

トンデモというのは、「赤い表情」シリーズがそうですか――

あれ以上はもう作れないと思います。製品になれば、原画よりも多少まろやかな感じですが、それでもトゲのある異端の画です。あのTシャツを見た人は、これはいったい何かと疑問を持つでしょう。Tシャツの極論です。

Tシャツの限界というものは、どのあたりにあるのですか――

作れたとしても売れなければ、それも限界です。売れるTシャツの方向はわかっているので、乗るか反るかというのもあります。

売れるTシャツデザインは、どういうものですか――

一般には、コマーシャルタッチは売れて、アーティスティックタッチは売れません。Tシャツに限らず、何にでもいえる商品の基本です。また特にネットで扱うTシャツは、テレビ情報ネタは当たりやすく、無関係ネタは当たりにくい傾向もあります。テレビを中心に回転している暮らしが、Tシャツにも反映しているようです。

そんな中、どのあたりをねらっていますか――

レアなお宝指向です。どこにも存在しないTシャツの企画が多くなります。元々、現代美術活動の中でアーティストグッズ試作からスタートしたので、意味不明の絵が多くなっています。

コンピューターで作られた絵が多いですね――

今のTシャツ製造は、電子データを使います。電子プリント以外の、シルクスクリーンやアイロンプリントもそうです。手がきイラストもキャンバス画も、いったんはデジタル化するので、コンピューター制作だと近道です。

手がきとコンピューターでは、Tシャツにした時どう違いますか――

Tシャツ化すると、アナログ画とデジタル画は似てきます。たとえばキャンバス絵画にくらべ、専用光沢紙に印刷したコンピューターアートは、良くも悪くも軽くて浅い感じです。Tシャツにすると、違いはわからなくなります。

どんな絵でも、Tシャツに印刷できる時代なのですね――

完ぺき主義で考えると関門もあって、色を「光の三原色」から「絵具の三原色」へ変換する工程で、鮮やかさは失われます。原画が鮮やかでも、最後にそぎ落とされ、地味で沈んだ色に変わる問題が今もあります。

自作で、できあがったら印象が違ったとの声は、そのせいですか――

たとえばトロピカルな南国の海を、グリーンぽいマリーンカラーで明るく塗っても、最後は渋いグリーンに変わります。青と紫に塗り分けた部分が、同じ青で出たりもします。グラデーション部分でこれが起きると、立体感まで消え印象が違ってしまいます。

対策はありますか――

最初から出せる色の範囲で描けば済むように思えますが、3Dソフトを使う時は、これができません。だから3Dで作る場合は、色変換を何十回もテストしながら進めます。

以前に作った絵は、どんな方法でプリントしたのですか――

シルクスクリーンの時代に、グラデーションを出そうと、直接筆でかいたことがあります。原色を混ぜ合わせて筆でヒョイとなでても布に染料がのらず、丹念にしみ込ませて埋めました。にじみ防止剤にムラがあって、雨にぬれて流れた失敗作もあります。今ではTシャツ専用印刷機で、グラデーションは普通に出せます。

その割には、市場全体にはベタ塗りの絵が多いようですが――

店頭販売用は、今でもシルクスクリーンのべた塗りが多いのです。だからネットと店頭で兼用する絵は、ベタ塗り原画が必須です。ただし、プリンター専用の絵で今も単色塗り分け画が多いのは、制作ソフトの事情もあるでしょう。

そんな制約とは別に、ベタ塗りは作画が早く、その割にくっきり見えてインパクトがある利点があります。黒一色のシルエット画がプリンターTシャツでも多いのは、その理由もあるでしょう。

フルカラー印刷機の性能が、あまり発揮されていないのですね――

プリントTシャツデザインの機能として、告知ポスター的なメッセージ性があります。簡単に言うと、道路標識と同じ役割です。昔から、Tシャツはガツンと強い絵が有利と言われてきて、多色の絵画系Tシャツは弱く見えるので、数も出ません。極限アーティストTシャツで、違う世界をつくろうと思います。 ♪

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