戦後の高度成長はバブルよりも好景気で夢あふれ

高度成長

1964年の東京オリンピック、高速道路と新幹線の整備

1980年代のバブルより、さらに20年も前の1960年代にも、好景気は起きていました。

よく耳にする、戦後の高度成長です。1964年の東京オリンピックをはさみ、今から55年も前の日本を裕福に変えていった経済成長でした。

きっかけはもちろん東京オリンピックで、日本政府は海外から借金して国内へ投資して、近代国日本がさらに現代的に変わる大きい成長でした。

経済規模がデカくなった時代

1960年代の高度成長は、国民の所得の上がり方が、バブルよりずっと高かったのです。当然、国民は全体的にハッピーです。

所得が上がれば、買いたい物品は常にいっぱいあるのだから、あれこれ買います。すると物価が上がります。そこから好循環が起きるのです。悪循環の逆です。

物価はなぜ上がったの?

人々が品物を多く買うと、需給関係がくずれてレア化します。するとメーカーは増産しながらも、強気価格で高くします。これは、オークションで珍品ほど争奪戦が盛り上がり、値が上がるのと似た原理です。

その値上がりする現象が、良性インフレです。デマンドプル型インフレーション。

1960年代以降に菓子『チロルチョコレート』が、10円から20円、30円と上がったことがありました。山が3つのチョコで、30円になると3分の1サイズの10円タイプも新発売されました(オイルショックの悪性インフレも加わって)。

値上がりしたら国民は困らないの?

3倍になっても、買う人は痛くない。物価3倍だと、給料が4倍などに上がる経済の性質があるからです。適度でマイルドなインフレでは、物価以上に所得が上がるのです。

そもそも買う人が増えた原因は、給与やボーナスや報酬など所得が増えたことです。

単独で物価だけが上がるのは、単にデフレ末期の苦境です。全く意味が違います。

1960年代に所得が増えた本当の理由は?

当時の日本政府が増やすと宣言しました。国民の所得を2倍にする「所得倍増論」です。口先だけでなく、所得を上げる政策を集中させて、下げる政策をやめました。

実際にとるべき政策は普遍的で、財政出動と減税です。国民のサイフの中を増やす。

あの時の所得は偶然の上昇ではありません。上昇に仕向ける政策をわざと行い、そうなる法律を増やしました。その当然の結果として、国民が使えるお金が増えました。

裏はアメリカの国策でした。第二次世界大戦で味方と思ったソヴィエト連邦が、朝鮮戦争でアメリカの敵だとわかり、西ドイツや日本や韓国を富ませる方針に変えたのです。

たまたまそうなったりは絶対にありません。景気は人が故意にいじって変えます。

合理的な未来展望を、国民に明示した効果が大きかった

大きかったのは、将来プランでした。別に未来への抱負の論文を書いて、国民に読んでもらったわけでもなく。シンボルイメージとして、まずは高速道路や新幹線がありました。

それなりの広い日本列島が狭く感じるほど、人、物、金の国内移動手段を整備しました。

ちなみに国境を超えての「人、物、金の自由化」は、独自文化の解体につながりますが、国内での自由化は正反対に独自文化を強化しました。

具体的には?

国鉄が打ち出した『ディスカバージャパン』もその線でした。

駅でスタンプを集めると記念品がもらえるという、日本文化を学ぶ機会に引っかけた鉄道乗車キャンペーンでした。後にアメリカで『アイ・ラブ・ニューヨーク』が流行りましたが、あんな感じです。

交通インフラストラクチャー(基盤構造)を作ると、国民が新しい使い道をみつけて発展させていきます。政府の当初の想定以上に功を奏し、1970年代から日本は科学立国へと発展していったのです。

たとえば世界初のCPU(コンピューター用の中央演算素子)は日本製だったとか。

それは割と知られてて

インフラを作るコストの収支は、無駄づかいした大赤字が前提です。

ただし民間企業が赤字だとまずいから、産業の基盤自体は政府が出資します。民主社会では政府は国民代表だから、おせっかいどころか下支えして当然です。

民間と違い、政府の赤字は永久に返済しない道理です。

国民所得を上げるには、政府がお金を発行して始めます。過去には危険なドル借金でまかなったのは、当時ドル円が固定相場だったからかも知れません。

国民に無料で渡すよりも、国づくりの仕事をしてもらい、国内産業を育ててGDPをふくらませる。240兆円の政府投資が、民間活動で540兆円へふくらむ増分が大事です。

政府がお金を増刷することが一番大事?

お金を増刷し続けないと貧困化します。

平成令和が不況なのは、お金をわざと減らし、所得が下がる政策を増やしたからです。

デフレを強める法律がラッシュです。「この国は終わった」「日本は店じまいだ」と受け取れる合図を、国民に送信しています。経済は何となく墜落したりしません。

具体的には?

たとえば残業代カットなど、所得を減らすよう仕向けた法律です。

「ディスカバー貧乏人」のキャンペーンです。「日本死ね」の具現化ですね。

平成令和の日本は国民もあおり合って、日本を沈める方向に力を合わせたかっこうです。日本は自滅に向かっているぞと警告したのは、何と海外の研究者たちです。

「ドウシテ、ニポンジンハ、ニポンヲ、タオソウト、シマスカ?」と外国が先に言い始めました。最近の日本は変だぞと、他国の人がよく発言します。

平成が昭和とは逆に、ひたすら貧困になる理由は

平成にデフレ不況になって、次の言い方をよく聞きます。

「日本はもう十分経済成長したから、今後の伸びしろはない」。

「人口が減ったので、右肩下がりになって当然でしょ」。

この心理をヤケクソと呼びます。自暴自棄。合理的な発想でないのは、低迷しか選べない根拠がないからです。

人口が減れば痛いが?

たとえばヨーロッパ国で最も人口が多いドイツは、8000万人です。日本は1億2700万人超だったのが、1億2700万人程度に減ったわけです。

誤差程度で泣き言を言うのは不自然で、自殺願望ふうの心理に転んでいます。

メンタルの崩壊か

サッカー観戦で、相手に1点とられたら「日本終わった、テレビ消します」と言うタイプ。「逆転勝ちに期待する夢を捨てて現実を見ろ」と怒り出す人がいますね。

「日本復活なんて、馬鹿な希望を捨てない馬鹿ども」。

「最高を極めた後は、落ちるしかないだろ」と。

日本は科学の頂点を極めたと言っても、月に人を送っていませんね。スマホの5Gの通信機器も作れないから、外国製を買うだけだし。世界制覇するスマホも作っておらず、自動運転車もドローンもイマイチ。日本製がショボかった1950年代に戻る感じ。

それで今はブラック日本か?

平成以降の日本人は、気持ちがバラバラで投げやりです。

経済成長策をとる以前に、経済成長にノーと言う思想の耳ざわりがよいのです。「座して死を待つ」的な気分が広まったのは、貧困時代が長すぎたからでしょう。

日本人の性格の悪化は、とにかく目立ちます。詐欺師と嘘つきが変に増えたし。

期間で言えば、日本の平成デフレ不況は人類史上最も長いデフレだそうです。他国はなぜ短いかといえば、デフレが起きるとやがてデフレ疲れが起きて、インフレに戻っていくのが普通だからです。

いつまでも戻らず、デフレ不況の貧困化が力強く悪化するのは、故意にデフレに仕向ける圧力があるのです。経済悪化させようと、せっせと動いている人がいます。

所得を上げる政策で、所得は上がります。所得を下げる政策で、所得は下がります。1960年代の高度成長で、政府は所得を上げる政策を選びました。
Photo: G.T.